コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来へ幸せを〜この夢を終わらせないで〜《キャラ人気投票中》 ( No.94 )
- 日時: 2014/05/12 18:26
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
正直、パニックだ。
自分を守るために怪我した級友(告白されたしついさっき喧嘩したし)が目の前に
いる。
「と、とにかく大人…そうだ、忽那のお母さんとか呼んで…」
言ってから気づく。
今さっき両親がいなくて祖母さえも入院中ということを聞いたばかりではないか。あまりにもデリカシーが無さ過ぎる。
私だって昔父親がいないことに触れられて激怒したくらいだ。忽那は怒るだろう。
「両親いないっつーの。」
「いでで…」
忽那は薄っすらと目を開いてまだ掠れた声で私の頬をつねった。
空いた左手は口元を抑えている。まだまだ、キツイのだろう。それにこの怪我だ。絶対無理してるだろ。
「西夏は大丈夫なのかー?」
「大丈夫ー!こっちは砂も全然だし、平気だよー!」
似ているのかもしれない。
無理しちゃうのも。
自分のことに疎いのも。
相手の心配ばかりするのも。
相手を守るために、突っ走るのも。
忽那は…
「あいつ」と…
「日泉?」
「…あ、だ、大丈夫?」
危ない危ない。
危うく想像に浸かるところだった。
忽那は一瞬私の言葉が理解できないようで首をかしげたが、すぐにあぁ、と思い出したように言った。
「俺は意外と平気だ。まぁ、いたいけど。」
「痛いのに平気なわけないでしょ!」
思わず叫ぶが、忽那は小さく笑っただけだった。
「ちょっとー!私をのけ者にしてイチャイチャしないでよこのリア充ー!!」
「誰がこんなやつとイチャイチャリア充やるか!!ハルの耳可笑しいんじゃないの?!」
「え、ちょっとうれしいって思った俺が恥ずかしいじゃん。」
「怪我人だまらっしゃい。」
あぁ、まるで緊張感がない。怪我してる本人がこんなんじゃどうしようもないだろう。
「西夏!ひとまず大人呼んできてくれよ!ここで待ってるからー!」
「わかった!すぐ来るから、頑張って!」
「おう!お前も気いつけてなー!」
あんたの方が危ないんだっちゅーの。そんなツッコミは、ぐっと堪えることにしよう。
遥の足音が遠ざかっていく。やがて完全に消えた足音を確認して、忽那ははあと息をついた。そしてゆっくりと私の肩に寄りかかる。その生意気な瞳は眠そうに細められ、口元を抑えていた手は力なく膝の上に乗っかった。
「強がりだね、忽那。」
含み笑いをして言うと、やはりうとうとしながら忽那は答える。
「そんなんじゃないんだ。」
「じゃあなに?ただのバカ?」
「…急に…こうしたくなっただけ。」
またもや沈黙が流れる。心地よい空間だった。
このまま寝るつもりだろうか。きっと…いや、絶対そうだ。
私は忽那の肩を支えて木の影に移動した。
忽那を楽な体制で寝かせ、パーカーを掛ける。忽那は寝返りをうった後いい場所を見つけたのかそこに収まった。
こい見ると、小6にしては幼い顔をしている気もするが、実のところ、彼は幼い。