コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.15 )
日時: 2014/05/31 15:42
名前: 捨駒 (ID: GqvoTCxQ)

絶体絶命の窮地にあう五時間ほど前。
青年に扮した也太は小屋に入り、暖を取っていた。

丸木の椅子に座るが、外に放り出してあったのか、少し湿っている。

「……ここに住むのは、何年くらいなんですか?」

先程から誰も話さないので、しびれを切らした也太が声を出した。

「そうですね……もう何年でしょうか……」

おやっさんこと、ざらし。ざらしが言う何年は、何故か長く思える。疑問に思った也太は、口を開く。

「ざらしさん、何か、隠してませんか?」

ざらしは、質問を聞き、少しためらった様に思えた。子供の天流は首を傾げて目を白黒。ふう、と息を吐くと姿勢を正し、言葉を返した。

「分かりますか。……実は、」

深く吐いた息をもう一度吸い込むと木の中からポンポンと小さな子供の様なモノが飛び出てくるのが見える。森が少しだけ、光って美しい光景を目の当たりした。

妖術と言えば、それで片付く。でも、何かが違う。

「……座敷わらしと山霊を守る置いてけ堀……ですかね。」

スッと景色が消えた。長い夢を見た気になった。

「この小屋は……昔、私が取ったモノです。妖刀と引き換えに。」
「何年か前に消えた弟の天利が座敷わらしなんだ。僕は、山霊。」

山霊とは、夜、山に来た者を喰らうと言われる山の神。そして、置いてけ堀とは、置いてけ堀が持っているものより良い物を置いていけと言う妖怪。

簡単に言うと、最強タッグである。

「でも、旦那さんは食べないよ。僕の事を怖がらないもん。」

奇妙な弟とおかしな友人を持って良かったと心から思う。
しかし、その弟の天利とやらは何処に行ったのか。考えるだけで、胸が痛くなった。

暫く考えると、也太はこんなことを提案した。

「……そうだ。今夜の恩返しに、明日、町へ行きませんか?」

也太と声が山に響いた。

その、次の日。

「おやっさん!早くー!」

はしゃぐ天流に疲れはてるざらし。その様子を見守る也太。

今日は、日照りもよく、最高の日だが、長らく山にこもっていたざらしは息があがっていた。

「……はぁ、はぁ、也太さん、心当たりは……あるんですか?」

「おお、あるぜ!とびっきり変わった所があってな。そこに多分いると思うぜ!」

変わった所。言われてざらしは更に心配した。ピードロを片手に天流は喜び、その家に入っていった。

看板には『蘭星 』と書いてある。下には足が透けている女が。

「ここは……五年前に来た……」

「何か、ご用でも?!ありありって感じですけど!」

耳に残る女の声にざらしは首を振る。

ガッカリしたように項垂れる女の向こうから、もう一人、幽霊の様な女と也太にそっくりの青年が。そして、後ろには札を後頭部に押し付ける神李が。

「也太さん。昨日はやらかしてくれましたね。」
「あの天パ野郎か。久しいな。」



一旦切ります。

Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【ギャグ】 ( No.16 )
日時: 2014/06/08 18:24
名前: 捨駒 (ID: GFkqvq5s)

ざらしside


「あの天パ野郎か。久しいな。」

妖怪も驚くような肌の白さと長い前髪をもつ少女。この店から出て来ましたけど……まさか……

「おう!久しぶり!五代目!」

五代目……?確か、私達が出てきた時は……戦乱の世……その時出会った店の人とは違う。何年か前に消えてしまった、あの方の子供は、さぞかし大きくなったでしょう。

回りの景色は全て変わり、あの日よりも賑やかにそして、穏やかになっていた。私と天流を残して、こんなにも世の中は変わったんですね。

「ぁ、あの……」

「なんでしょうか。」

「……五年前き来たとき……いた……天利という子供を知りませんか?」

天利と言葉を発すると天流は目を輝かせている。長らく会っていないから、天流もきっと、楽しみなんだろう。

だが、少女は不思議そうに顔をしかめると奥へ走って行った。
少し間をあけて、少女は少しだけ顔を出して笑っている。前髪に隠れて見える口からハッキリと伝わった。

「……おやっさん、天利……ここに……」
「いるかも知れないな。」

段差の少ないこの家に唯一あると思われる大きな階段をかけ上がる。ここまで来る時は、凄く疲れていたが、今はそれが嘘のよう。

私は楽しんでいるんだと染々思っていると、前方から声。

「……我に動けと……?」
「そうだと言ってる。早くしやがれ。」

なっ?!
少し高めの声と声音を低くしたあの少女の声。

「ついに本性あらわしたな。神崎……」
「へっ?」

後からは也太さんそっくりの男を抱えて札を構える人が。本性?それって、神崎さん……五代目さんの事を……

頭の中で考え込んでいると也太さん、あ違う、あの男の人に腕を捕まれる。

「助けてはくれんか?!」
「つまらない冗談はよしてください、ほら、貴方が望んでいる商いの仕事場ですよ。」

……こう言うのを……ドSって言うんでしたっけ……
私はよく分からないので、男の事は放って置いた。でも、神崎さんの横にいる子供……いや、我とか言ってたし……あの人の子供だし……

「……仕方無い、会ってやろう。」

襖の奥から聞こえる声からして、性格が豹変していることが分かった。五年前(人間界では安土桃山時代)にはお淑やかで静かだったのに……残念き気持ちでいっぱいだ。

「妖怪だったら滅するぞ。神崎。」
「分かっとる。黙れ。」

今、妖怪だったら滅するとかなんとか。聞こえたけど……私達、絶体絶命ですよね……どーすんだよこれ……也太さんは!?

「すみません、おかわひ。」

何団子食ってんだよ!ちきしょう!おかわひって腹立つな、ちきしょう!