コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【オリキャラ募集】 ( No.28 )
- 日時: 2014/10/18 17:00
- 名前: 捨駒 (ID: 8l51JBm.)
見ていたらでよろしいので!
亜琵助斗さんの脳内設定。
・ビスケッよう様に少し暗めの栗毛に大きなアホ毛。アンテナのようになる。
・白衣に下駄。大きなトランクを持っている。
・少し童顔的な。
・強面等ゴツい人に絡まれるのが嫌。
・医者。
何かありましたら、ご連絡ください!
酔い潰れ、顔が赤い神李を引きずり、変わった家が建ち並ぶ住宅街に入っていった。馴れた様にスルスルと通り抜けていくと古民家といえる家に着いた。
コンコンとドアをノックし、重たい引き戸を引く。
「…ハク…?いるのー?」
薬品や何かの腐った様な臭いが立ち込める民家の中に、面倒そうに現れる白髪の男。大きなあくびをしながら頭を掻いた。
「ハク様と呼べ。」
「ふざけんな。」
白兎。通称兎爪。
純一の懐刀であり、杏子の兄の様な存在。少し赤みがかかった白髪にスラッと伸びた長身、赤い目が特徴だ。
「友達…神李君が、酔い潰れて…」
「あー、賀喜の若頭か……しーは?」
「今日はいない。」
「あそう。」
無言のまま昆布茶を湯のみに注ぎ、濡れ布巾と水と共に杏子の前に置いた。
ここ暫く会っていない為か、まともに会話が続かない。
「…昨日は、久し振りに赤く染まった。」
いきなり口を開いた白兎の方を振り向く。
所々に赤いしぶきがつき、鞘には菊の花と骸骨が描かれている刀の鞘を杏子に見せる。
「……ところで、杏。」
「ん?」
「久し振りに…」
何故かその場で左足を後ろにし、両手を握り締め杏子に言った。
「拳でも…交えるか?どうする?」
「いきなりするかよ!」
子供の様に目を輝かせ二回程素振りをした。
杏子は呆れた表情で床に落ちていた荒縄を掴んだ。
「なら。」
ふうと息を吐き、両者にらみ合いを続けた。
「うおらっ!」
拳を前につきだした白兎だが、三秒ほどで杏子は後ろにまわり縄で白兎の体を縛り付けた。それも、亀甲縛りに。
「これ……いい!」
「変態かお前は!」
ここはある日の平安京。いや、平安境。
現世との平安京と妖界の平安京を分ける場所だ。その昔、その平安境界線に三人の妖怪が現れたという。
一人は冷静で頭がよく、一人は神をも酔わすその美貌、もう一人は姿からは想像できない肉体と先頭能力を誇る。気のいい三人の妖怪はその平安境に住む住人にとても気に入られ、幸せに暮らしたという。
平安境は、今でいう鬼蛇穴通りの真横に直通する神流憑横丁である。
ここから下はその三人の妖怪の話。
しーちゃん!僕の着物、どこいったか分かる?」
「おい、しー。テメー、俺のカステラ食ったろ。吐け。」
「なぁしーちゃん、今日の晩飯…なんやったっけ?」
「しー、俺の足袋知らね?」
本日五本目の筆を折った。
「あーもう!テメーらは俺が居ねーとなんもできねーのかよ?!」
ぶちギレる男、これは後の神李のお目付け役の死殺である。
「そんなこと言わんといてよォ…お母さん見たいなんやから…」
長い尻尾をフルフルと震わせ牙を見せながら笑うのは、後の美人妖怪花魁の鎖羅。
そして、指をボキボキ鳴らすのがイペタムの化身、白兎であった。
イペタムとはアイヌ語で人喰い刀の意味を持ち、その名の通り、一度抜かれると血を見るまでは鞘に納まらないという血に飢えた妖刀。(Wikiを参考)
らしい。
「…まあよ、別に…俺が居ないと駄目だったら…もっと甘えて貰っても…いいんだぜ?」
「いい。しーに頼る位ならここから出てく。」
「えー、僕はしーちゃんがそうして欲しいなら甘えるよ。」
笑う鎖羅に死殺は俯き、溜め息を吐いた。
こいつが成人しても一向に家を出ないのが分かる気もする。
それとは違い、白兎の意見は腹が立ってくるものだ。
「…で、俺なんだけどさ…」
漢方薬の臭いが立ち込める黒いコートの中に、赤い髪に真っ赤の瞳をした少女が一人。
目を丸くする二人に白兎は差し出した。
「拾った。名前は緋色でいいよね。」
へらっと表情を緩くし、笑う少女。
「へえ、緋色ちゃんか…白兎にそっくりなんやなァ…」
「だろ?小さい頃の俺に似て、可愛いんだよ。」
赤い髪を撫でると更に笑う。
白い肌に赤い瞳と髪。緋色という名前は白兎がつけた。
長い髪は後ろで一つの三つ編みにし、黒地に銀色の蝶の刺繍を施したスカート状の着物。
「…こいつ…現世のか?」
「現世?」
首を傾げ、不思議そうに死殺を見つめた。
子供の嫌いな彼はモノクルを上に上げ、何事もなかったかのようにそっぽを向く。
「カンケーねーよ。…現世って事は旦那の仕業か…」
現世と妖界は、逢魔が刻に繋がる。と、この世界ではいっておこう。この二つの世界を繋ぐ役目をするのは、神崎でも無く、賀喜でもない。
もう一人の神がいたという。
その話はまた今度。
- Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【オリキャラ募集】 ( No.30 )
- 日時: 2014/08/29 23:08
- 名前: 捨駒 (ID: wJnEuCOp)
ぶっきらぼうに呟く。
「飯。できたぞー。」
真っ白の三角巾を四角に畳み、囲炉裏に大きな黒い鍋を置いた。
緋色が来てからというもの、鎖羅と白兎は緋色にベッタリだ。仕事も放り出し(鎖羅は元から)死殺の苦労は絶えなくなる。
パチパチと音が鳴る。嬉しそうに緋色は眺めていた。睦月まであと少し。妖の世界でも正月の準備が行われている。
ここの地区では、堕ちてきた神々、すなわち鬼を祭り上げてお祝いをする。鎖羅は酒を売る女の指示を、白兎は見世物、死殺は灯りを持ち子供たちを案内する係となった。空が飛べるだけでこうなるなら、自分の両親を恨むのが死殺だ。
「あっつ!こへ、なんへいうほ?」
「口に物入れながら喋んなよ。…これはカレーっつう食べ物。うまいだろ?」
「んー…緋色ちゃんが辛そうや…」
「しゃーねーだろ。」
そっぽを向くがやはり辛そうにしている。
「……おい、蜂蜜ってここにあったよな?」
嬉しそうに笑う鎖羅と緋色を背中で見、少しだけ口元を緩めた。
そして祭りの当日。
「うぇーい、皆さーん。寄ってらっしゃい見てらっしゃーい!世にも珍しい、イペタム少年の早切り焼きそばだよー。」
「おじさーん!一つ!」
「おー…って、おじさんじゃねーよ!売らねーぞ!」
「緋色ちゃん?いい?こーいう風に手を垂直に曲げて…そこォ!気ぃ抜かんの!もっと媚びる様に!」
寒空を翔ぶ死殺の足元では楽しそうな二人の声が聞こえる。
可愛い子供達が撃ち落とそうとパチンコで撃ってくるも、羽根で返していく。
「けっ!クソガキ共が…」
その場に痰を吐き捨てると、暗い茶髪の男の上へと落ちていった。男は睨み付ける様に死殺を見る。慌てて死殺は下へ降りていく。
「すみません…」
「…まー、そう思っとるだけでも俺は許すぞ。ええ人やからな。」
鍵の束を巻いた手を横に振り歯を見せて笑った。
ニイッと引き上げられた口の端から目元に伸びる紅い刺青。許してくれたとはいえ、妖しい奴に決まっている。
「それでは…」
「おーい…うーん……せやな…」
俯き、顎に手を当てて少し考える。
「あ!じゃあ、俺の組に入れ!これが恩返しでいええから!」
「……は?!」
「よーし、じゃあ年明けてから…あの姉ちゃんの店で待ち合わせな。」
愛想よく笑う鎖羅の店を指指し、口を開けて目を丸くしている間にあの男はどこかに行ってしまった。いや、消えてしまったと言った方がいい。
それから、暫くしてだ。
除夜の鐘では無いが、鐘の音が響く。
「……ん?なんだあれ…」
ざわめく鬼達の群れに巨大な網を担ぐ男。
口元だけしか見えないが、微かに微笑んでいる。
「人間…か?」
自分達を足元から見上げる男は顔を上げた。
「さァァァ!!今から始まる見世物っ!成功の暁には盛大な拍手をォーお願いいたします!」
呆ける鬼を次々と素早く乗った瓦屋根の上から掬い上げていく体重は自分の何倍上かも分からない鬼達をだ。
新しい鬼は全て掬い上げられ、網の中ではすし詰めに。
大きく振り上げるとこれまた大きな鐘に中身ごと投げつける。丁度最後だった鐘は街が破壊されてしまうのかと思うほど、大きく鳴り響き風が起こった。
「…それでは皆様…よいお年をォォ!!」
月明かりに照らされ、逆光となりハッキリとは見えなかったが、紅い刺青だけが透き通る肌を照らしている。華奢な腕は気崩した着物の中へしまい込まれて見えはしなかった。
「…俺…とんでも無ェ奴に絡んじまったァ…」
後悔が死殺の頭をいったり来たり。
黒い羽根は雨の様に拍手と鬼の呻きと共に下へ落ちていく。
- Re: 【歴史系】陰陽師兼忍者【オリキャラ募集】 ( No.31 )
- 日時: 2014/09/06 10:44
- 名前: http:// (ID: aR6TWlBF)
提灯や灯籠の明かりで目が眩みそうになる。
目を手で押さえると鎖羅は死殺を小突いた。
「なんやー?僕の美貌に目が眩んで…?」
「アホ。俺はスケベなおっさんに呼ばれて…」
「誰がスケベなおっさんやて?ホンマ、この頃の妖怪は怖いわー。」
少しオーバーな反応で鍵の巻いてある腕を口に当てる。でも、目が笑っているのがバレバレだ。
クスクス笑う鎖羅に薄汚れた包みを男は手渡し中身に鎖羅は驚いた。反射して光るので多分金であろう。
元々が整った顔立ちの為、中にいる女たちはすがるように男に体を寄せる。つまらなさそうに死殺は鎖羅戻っていった部屋へ走る。
「しーちゃん、どうした?」
「…いや…あの…ちょっとあいつの名前とか…分かるかと…?」
差し出された絵馬(この遊郭ではお客様の名前を絵馬に書く。鎖羅が考えた。)に書かれた文字に死殺は目を見開いた。
「…まあ、飲めって!」
渡された御猪口に並々と注がれている酒。あまり飲まない方だが目をつむり一気に口に入れる。
「上手いやろ?ここの酒はええのばっかしやねんで?」
「……すみません…」
「お?どうした?」
もう顔が赤くなっている男に真剣な趣で聞いてみる。
「…貴方…賀喜組の若旦那様…なんですか?」
死殺の問いかけに男は黙り少し考えた様にしてから間を空けて話をした。
「せやな。俺は確かにヤクザのあれやけど…あ、名前は賀喜安芸彦。お前は俺の子供の面倒を見てもらおかと思ってる。」
ふざけんじゃない。
心の中でそう呟いたが、声には出せなかった。
「俺…子供嫌いなんですけど…」
「すげーな。ホンマ、変わってへん…」
「何か言いました?」
「なんでも無い。…で、嫌いって事はまさか…俺のプリチーベイビーまでをも…っ?!」
何言ってんだこいつという目で見られるが、なんの恥ずかしげも無く賀喜はもう一度酒を口に含み少し表情を緩めた。
「大丈夫や。俺の子供はそんなに世話もかからんしな。大丈夫や…」