コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 短・中編集(参照1500突破感謝!) ( No.107 )
- 日時: 2015/11/15 11:09
- 名前: 夕陽 (ID: rBo/LDwv)
占いの館
ちょっとホラー気味です。(あまり怖くはありません)
古びた音を立ててドアが開いた。
その様を私と愛梨はじっと見つめる。
……何も起きない。
そのことに少しほっとしつつ、私達は館に入った。
なぜ、私達がここに着たのか。
それはこの館の伝説が関係している。
この館は昔、龍の力を持った家が経営していた占いの館だった。
しかし龍の教えに背いたか、龍がつまらなくなったか龍の力が与えられなくなった。
龍の力で百発百中の占いをしてきた一族だったがなくなってしまい評判も落ちた。
そしてその一族は狂っていき——。
本当かどうか分からないが、その伝説があるからかこのようなことも言われるようになった。
——新月の夜にその館に行くと龍が一時的に力を与え、一つだけ願いを叶えてくれるらしい。
私はそんなに信じてなかったが、愛梨は信じているらしく、ついてきたほしいとお願いされたのだ。
そういえば愛梨は好きな人がいるって言っていた。
恋愛関係だろうか。
それに、オカルトはそれなりに興味がある。
私は二つ返事でオッケーしたのだった。
* * *
「うわあ、本当に何か出そうだ……」
私はポツリともらしてしまう。
元々占いの館だったからか装飾も謎めいた雰囲気で電気がついてないのでその風景が更に不気味に見える。
これは幽霊が出るっていうのも納得だ。
「ちょ、ちょっと! そんなこと言わないでよ」
愛梨もその噂は知っていたらしく、震えている。
「まあ、とにかく早くいこ」
私は愛梨の手を引き、龍が現れるという占いの道具が置いてある部屋に向かった。
いくつかドアを開け中を確かめる。
私が5つ目のドアを開けたとき、その部屋であると確証を持った。
真ん中にはバレーボールくらいの水晶。
周りには魔術書みたいな本が詰まっている。
「愛梨、ここじゃない? ……って、愛梨!?」
手を繋いでいた愛梨に話しかけようと振り向く。
しかし、愛梨は急にその水晶の前に走り、手を触れた。
その目はさっきまでのおびえた瞳ではない。
何か、意志がある強い瞳。
「龍様、聴こえますか。私はあなたにお願いがあるのです」
しかし同時に違和感を感じる。
「この館を持っていた一族のものにもう一度だけ力を分けてほしいのです」
これは、私の知っている愛梨ではない。
「そのための人質も持ってきました」
私の知っている愛梨は人を簡単に売る人じゃないっ。
しかし愛梨は意志の強い瞳のまま、私を引っ張る。
ずるずると引きずられ私も中央の水晶の前に来ていた。
「これを納めて下さい。代わりにこの館を持っていた一族に龍の力を!」
愛梨の目は本気だった。
「愛梨、どういうこと!?」
私は声を振り絞って愛梨に向かって叫ぶ。
その瞬間、まるで意識が戻ったように愛梨の目はいつものおびえた目となった。
「ここは一体……?」
まるで憑き物が落ちたような顔で呟く。
私は簡単に今までの説明をした。
すると罪悪感を感じたのかごめんね、とぽろぽろ泣き出してしまった。
「ところで龍に聞かなきゃいけないことあるんじゃないの?」
私が促すと愛梨は、
「大丈夫、やっぱこういうのは自分で考えなきゃ」
とにこやかに言った。
今度はまっすぐ玄関に向かうだけなのですぐについた。
そして出た時見た景色は、いつもと変わらない。
しかし二人は知らなかった。
二人の後ろにあった館は少し新しくなっていることと、
二人の顔が5歳ほど年取ったことを。
* * *
あとがき
本当は13日の金曜日にホラー書きたかったのですが時間とネタがなくて諦めました。
ホラーと言っている割にはそんなに怖くないと思います。
私自身ホラーあまり読まないので……。
ちなみに解説としてはこの館は来た人の寿命をすうことで元の状態に戻ってるという感じです。
愛梨はこの館の霊にとりつかれていて、主人公を生贄にしようとしました。
多分解説しないとほとんどの人が分からなかったと思います……。
最近ほとんど書いてないのでたまには書かないとダメですね……。
読んでくださった方ありがとうございました!