コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 短・中編集(参照100突破感謝! 企画あり) ( No.34 )
- 日時: 2014/05/09 22:31
- 名前: 夕陽 (ID: p8.Ij.U2)
不思議な町の恋の話
ある所に、魔法が使えるようになりたいと願った若者がいました。
その若者はどうしても使えるようになりたかったのでその方法を一生懸命探しました。
そしてある時見つけたのです、願いが叶う方法を。
若者はその方法を実践しました。
次の日、起きてから何も変わらないことに落ち込んでいましたが白い封筒がおいてあるのに気付きました。
その中身を見てみるとこんなことが書いてありました。
『お前に、魔法を授けよう。その代わり、お前の所に生まれた2番目の娘が15歳のころ竜の湖へ送るのが条件だ』
それくらいなら、と若者は二つ返事で請け負いました。
そのころ、若者は子供がいなかったからです。
いないなら守る必要はないだろうと軽く考えていました。
しかし、それは馬鹿な考えでした。
その条件はその一家にずっと続くようになっていて、もし守られなければその家系は滅亡するようになっていました。
それから滅亡を恐れたその家系は毎回2番目の娘を15歳になるころ竜の泉に送る事にしていました。
そして、
送られた娘達は、この地を踏むことは二度とありませんでした。
「この話、本当にあるのかな?」
人差し指をあごに当てながら話しかけてきたのは親友の奈々だ。
「さあ? なんともいえない」
私は興味がないというように素っ気なく返す。
もしかしたら素っ気なさ過ぎたかな?
でも、ばれると困るし……。
「いつも、真美はそうだよね。何にも感心ない」
唇を尖らせて不満を訴えてくるがそれも無視する。
「まあ、この昔話信じているのはおじいちゃんやおばあちゃん達くらいだけどね」
その言葉に付け加えたい言葉がある。
私たちの家族も、だ。
私の叔母さんは、竜の湖に行った。
だから私は叔母さんを写真の中でしか見たことがない。
ちなみに、竜の湖に行かなくてはならないのは長女の産んだ二番目の女の子。
私のお母さんは長女で、私はお母さんが二番目に産んだ娘。
だから、私は15歳になったら一人で暗い森の中にある竜の湖に行かないといけない。
あと、三年経ったら行かなくてはいけない。
「どうしたの? 急に黙っちゃって」
奈々は心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫、なんでもないよ」
私は自分にも言い聞かせるように、笑顔でいう。
少ししたあと、下校時刻になったので学校の図書室から出て家を目指す。
「じゃあ、また明日」
奈々は大げさに手を振る。
「また明日」
苦笑しつつも手を振りかえし、私は自宅へ向かった。
「ただいま」
私はいつも通り家の鍵を開ける。
家に入り、玄関を確認すると靴は一足もない。
やっぱり私が最初だったのか。
特に気にする事もなく、階段を上って自分の部屋にこもる。
「そろそろ奈々とも距離置かないといけないのかなあ」
私は誰にいうわけでもなく自分に問いかける。
これは決まりではないのだが、私はあまり人と接すると別れが悲しくなるためそこまで友好関係を広くとろうとはしない。
多分、残り1ヶ月には全員と縁を切るだろう。……もちろん家族とも。
少しずつ私は人から遠ざかるようにする。
今まで仲良かった友達で現在進行形で友達なのは奈々しかいない。
「流石にあと三年もあるのに友達一人はまずいかなあ」
自分の計画性のなさにため息が出るが、しょうがない。
まあ、友達が離れていったのは私が原因だし。
私がたまたま魔法を発動させてしまったのが原因だし。
それをみて奈々以外の友達は皆離れていった。
奈々は、夢と勘違いしているようで特に離れる事はなかったのが幸いだ。
私が魔法を使えるわけは昔話の通りだ。
ただ、魔法が発動するには条件がいくつかあるのが難点だ。
……むしろそっちの方がいいのかもしれない。
あまりに簡単な発動条件だと学校でもかまわず使えることになってしまうから。
とにかく、私は“仲のいい人”をあまり作らないのはこういう理由があってのことだ。
でも、私は“仲のいい人”よりたちの悪い感情が芽生えてしまう人が出来た。いや、出来てしまった。
その感情は、
——恋だった。
- Re: 短・中編集(参照100突破感謝! 企画あり) ( No.35 )
- 日時: 2014/05/09 22:49
- 名前: 夕陽 (ID: p8.Ij.U2)
不思議な町の恋の話2
私がその人を好きになった理由。
それは、些細な出来事だった。
私は、学級で生き物係をしていた。
昔から生き物は好きだから。
仕事内容は花に水をあげたり、金魚にえさをあげたりというような簡単だけど忘れてはならないものばかりだ。
しかし、ある時私は風邪を引いてしまった。
私は熱にうなされつつも生き物のことを口走っていたという。
さらに、一回家を飛び出そうとしたらしい。
まあ、次の日になって風邪は治り学校に行った私はありえない風景を見た。
——一人の男子が花に水をあげていたからである。
その男子は生き物係というわけではなく、私とも仲のよいわけでもなかった。
でも、水をあげていた。
鼻歌を歌いながら、楽しそうに。
「あの」
私は驚きつつも彼に話しかけた。
「うわっ」
急に離しかけられたことに驚いたのか、彼の肩がビクリと動いた。
「あ、西園寺さんか」
こちらを振り向いて、ほっとしたように彼は笑った。
そのとき、私の心臓の動きがすこし速まったように感じられた。
「もしかして、みずやりしてくれたの?」
私が聞くと
「うん。昨日休みだったから代わりに。今日も来るか分からなかったから一応ね」
それくらい当然でしょ? というような表情に私は不覚にもとらわれてしまった。
だって、今までそんな純粋な瞳をした人見たことがなかったから。
だって、今までそんな楽しそうな笑顔浮かべる人に会ったことがなかったから。
だって、今までそんな細かい事まで気付く人知らなかったから。
私はこのときからきっと彼の瞳に、笑顔に、全てに恋をしてたんだ。
それが、とても悲しい恋ということも知らずに。
- Re: 短・中編集(参照100突破感謝! 企画あり) ( No.36 )
- 日時: 2014/05/11 22:23
- 名前: 夕陽 (ID: p8.Ij.U2)
不思議な町の恋の話3
私はそのときから彼の事を目で追うようになった。
どんな時も彼のことを考えてしまう。
でも、その恋が続くのはあと三年。
告白して万が一良い返事もらえてもたった三年しか付き合えない。
でも、何もしなければ一日も付き合えない。
告白して振られても一緒だ。
どうしようか?
私は、最後の選択肢を見つけた。
——彼と、友達になろう。
そうすれば、一緒にいられる。
でも、友達なら前みたいに能力を見せれば離れてくれるだろう。
だから私はその日から彼に話しかけることにした。
「あの、この前は生き物の世話をしてくれてありがとう。お礼になんかおごるよ。お小遣いもらったから」
私は放課後そういって彼に話しかけた。口実はこの前の事。
実際、何かしらお礼をしたいと思っていたので一石二鳥だ。
「え? そんなのいいよ〜。僕がやりたかっただけだし」
そう言ってえへへと笑う。
そんな表情がとても可愛らしく見惚れてしまう。
「いえ、私がお礼したい気分だから! 気にしないで。むしろ何かおごらせてください!」
私が頭を下げると
「そこまで言うなら……」
と彼も納得してくれた。
結局行くことになったのは喫茶店。
安値で高校生に人気らしい。
お店もポップな感じで誰にでも入りやすい印象だ。
「コーヒー飲める?」
私はたてに首を振る。
その後彼はファミレス等でよく見られる店員さんを呼ぶためのチャイムを鳴らした。数秒後店員さんがこのテーブルに来る。
「コーヒー二つ下さい」
注文を済まし、店員さんは厨房に戻っていく。
「西園寺さんの分は僕がおごるね」
にっこりと笑うその顔に私は
「いえ、自分で払います! 私が言いだしっぺですから」
なんとしても恩返ししなくちゃ! と思い断った。
「でも、こういうのは割り勘って僕の中で決まってるんだ。だから気にしないで」
そういってふわりと微笑んだ。
その顔に私は、彼に対する好意が友達ではおさまりきれないほど膨らんでいるのに気付いてしまった。
- Re: 短・中編集(参照100突破感謝! 企画あり) ( No.37 )
- 日時: 2014/05/14 21:15
- 名前: 夕陽 (ID: 2dlf7754)
不思議な町の恋の話4
それから、私達は段々仲良くなった。
でも、それと同時に別れの時も近づいてきた。
私は別れのことを一言も言わなかった。
最後くらいは笑顔で言いたいな。
「ありがとう」
って。最高の笑顔で。
月日が経ち、私達は中学二年生になった。
今年も同じクラスだった。
そのクラス替えの表を見たとき嬉しくて何度も見直してしまった。
何回見ても私の名前の一つ後ろに彼の名前があった。
私は毎日後ろを向いていた。
後ろを向いて彼と話していた。
とっても楽しかった。
すごく、楽しかった。
ただ、ある時そんな生活が崩れてしまった。
彼の一言で。
「僕と、付き合ってくれない?」
その言葉で。
彼の表情は真剣で嘘に見えなかった。
私は、とても嬉しかった。
でも私はとても悲しかった。
私はとても迷った。
もし、はいと答えたら私の望んだカレカノの関係が手に入る。でも別れが寂しくなる。
もし、いいえと答えたら関係が壊れてしまう。でも別れはカレカノになった時よりは寂しくないはずだ。一年もあれば忘れられるから。
私は迷いに迷って一つの答えを出した。
「——」
それを聞いた彼の顔は、死ぬまで忘れないだろう。
—END—
* * *
あとがき
最後ほとんど会話なくてすいません。
なんかあまり恋っぽくないなと思ったので最後ちょっと(本当にちょっとですが)恋愛っぽくしました。
最後言った答えは「はい」だったのか「いいえ」だったのか……。
一応考えていたのですが、皆さんの好きなように想像してください。
どうでもいいこと
この話は元々一つのスレを立てて書こうと思ってました。
でも短めなのでこっちに書いたんですが実はもっと話は長いんですよね……。ちなみに出てないキャラいます。
短くしようと思ったら出せなくなっちゃったんです。
もし、他の作品が終わったら立てるかもしれないのでそのときはよろしくお願いします。(多分題名はここの題名丸パクリだと思います)
まあ、立てないかもしれませんが……。
あとがきと本文が変わらない文字数どころかあとがきのほうが多くなりそうなのでここで終わります。
……次は何を書こう?