コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 短・中編集(参照300突破感謝!) ( No.53 )
日時: 2014/07/28 16:10
名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)

なりきり掲示板で自分の演じているキャラがあまりに楽しかったのでそのキャラで物語書きます。
設定はなりきりと違います。キャラは一緒ですが。

雨宮姉妹といとこ

「おっはよ!」
 朝六時。元気そうな声と共に一人の少女がみなづきの部屋に飛び込んできた。
「おはよう、さつき。急にドア開けないで」
 さつきと呼ばれた少女は黒い肩につくくらいの髪の毛をおろしている。窓から入ってきた朝日の光にキラリと反射する。
「いいじゃん。っていうかお姉ちゃん起きてたなら早く朝食食べようよ! 今日はむーの家行くんでしょ?」
 さつきにお姉ちゃんと呼ばれた女性はみなづき。さつきとは二歳しか違わないがどうしても彼女は大人という感じだ。落ち着いた雰囲気や凛々しいたたずまいがそのイメージをさらに増強させている。
「はいはい。ご飯はまだ作ってない?」
「大丈夫! もう作ってあるから」
 さつきは早く早くというようにみなづきを引っ張っている。

「美味しい」
 みなづきがさつきの料理を口にした感想はこれだった。
「いつもやらないから出来ないのかと思ってた」
 食卓に並んでいるのはご飯、わかめと豆腐のみそ汁、焼き魚、おひたしと和風のものだ。
「ふふふ……、お姉ちゃんこれで私を見直した?」
「あと数学と社会と理科と英語が出来るようになったら見直すよ」
「それ、絶対無理だし!」
 さつきは国語以外の五教科は苦手だ。国語は九割の点数は必ず取れるがそれ以外は右手だけで数えられる点数。

「ごちそうさまでした」
 みなづきが食べ終わったのを見計らったようにさつきは
「じゃあ、食器洗ったらすぐ行こう!」
 と食器を洗うために食器を持っていく。

「むーの家行こう!」
 さつきはそう宣言して自転車で15分くらいにあるいとこの家を目指した。みなづきと一緒に。

 むーことむつきの住む家にやってきた二人はチャイムを鳴らす。
「誰?」
 機械越しだがむつきの声だと二人はすぐ分かった。
「みなづきとさつき」
 みなづきが代表して名乗る。
 そうすると声が返ってくる代わりにドアが開いた。
「入って」
 むつきはそう言って自分は中に入る。

 むつき、フルネームで言うと村雨むつきは雨宮みなづき・さつき姉妹のいとこに当たる。気だるそうな態度やほとんどしゃべらない(ただしゃべるのがめんどくさい)人だがそこそこ容姿はいいのでそれなりにはもててる。

「で、今日は何の用?」
 むつきはめんどくさそうな態度を隠しもせず訊ねる。
「今日はおばさんいないから家事しにきた」
 みなづきは昨日お母さんから聞いていた情報をむつきに伝える。
「そーいや母さんいねーな」
 むつきは今気付いたようで辺りを見回す。
「朝ごはん、食べた?」
 さつきが聞くとむつきは無言で首を横に振る。
「じゃ、作るか」
 さつきは調理するためキッチンに移動する。
 彼女の自分の家の次に慣れ親しんだ家はむつきの家だろう。
「何食べたい?」
 キッチンからリビングでくつろいでいるむつきに声をかける。
 ちなみにみなづきは掃除中だ。
「何でもいい」
 こう返ってくるのは90%予想済みだ。
 残りの10%はサンドイッチなどの好きなものを指定するか何もいらないという可能性だ。
「じゃあ、簡単にトーストにイチゴジャム塗るだけでいいか」
 あまりむつきは食べないので料理は少量でいいかと考えて簡単な料理を作る。

「できたよ!」
 さつきがむつきに持っていく。
「むー、さつき、そこどいて」
 掃除中のみなづきがそう言って移動を促す。
「はあい、ほらむーもどいて」
 どうでもいいがむつきはさつきの一つ上、みなづきのひとつ下の十七歳である。
 つまり、さつきは年上に命令しているようなものだ。
 しかしそれを注意するものはいない。むつきが特に怒らないのもあるが、それが関係性がしっくり来ているのが一番大きい理由だろう。

「よし、掃除終わった……」
 みなづきが掃除が終わりあとは洗濯物だけだがこれが問題だ。
「ねえ、自分の下着くらい干してくれる?」
 下着があることだ。おばさんのものはそこまで躊躇することはないし、おじさんは出張中なのでいないがむつきのものだけは触るのが少し、いやかなり抵抗がある。
「分かった、自分の分だけな」
 そう納得しむつきは自分の分を干す。
「終わった」
 数分後そういい残し去っていく。きっとリビングでだらだらするのだろう。

「ふう」
 姉妹二人が同じタイミングで一息をついた。
「これで終わったし次は昼食作りだ!」

 時間は12時少し過ぎ位。
 タイミング的にもちょうどいいだろう。

「何か私も手伝うよ」
 みなづきがそう声をかける。
 さつきも料理は上手いが、姉であるみなづきもそれなりに上手い。
「じゃあ、サラダ作って。使う食材はお姉ちゃんに任せるから」
 さつきはそう言って自分はサンドイッチ(卵・ハム&レタス)を作っている。

「完成!」
「私のほうも出来た」
 二人ほぼ同時に完成する。
「むー、出来たよ!」
 さつきがむつきを呼びに行く。
「何が?」
「サンドイッチとサラダ」
「持ってきて」
「はいはい」
 いつも通りのやり取りの後さつきがソファに食べ物を置く。
「じゃ、私達は台所で食べるから」
 おばさんに冷蔵庫の中のものは自由に使ったり食べたりしてもいいと許可をもらっているので、みなづきとさつきは食卓に座って食べる。
「お姉ちゃんのサラダもう少し色を加えてもよかったかも。コーンとか入れてさ」
「さつきはレタスが大雑把にちぎりすぎ。こんなにレタスが出てるよ」
 二人はそれぞれだめな所を言い合う。
「味は普通に美味しいね」
「サンドイッチも美味しい」
 味はどっちも美味しかったようだ。

「ごちそうさま」
 二人は声を合わせていい、食器洗いはみなづき、テーブルの上の掃除はさつきがする。

「じゃあ、夕飯はおばさんが作ってくれるから私達はもう帰るね!」
 さつきがそう言い、
「じゃあね」
 みなづきが別れの言葉を言って二人は自分の家に帰った。

「ただいま!」
「ただいま」
 二人は家に着いた。
 両親は仕事中なので誰もいない。
「じゃ、ご飯作るか」
 両親もすぐ帰ってくるだろうということで4人分作る。

 完成したカレーを器によそって食べる。
「ふつう」
「そうだね」
 特に会話もなく黙々と食べる。

「ただいま」
「帰ったよ」
 そのときほぼ同時に両親の声がした。
「お帰り!」
「おかえりなさい」
 二人が席を立ち玄関に行く。
「いいにおいだな。カレーか?」
「みなづきもさつきもいつも料理用意しておいてくれてありがとね」
 お父さんとお母さんがそう声をかける。
「えへへ」
 さつきは嬉しそうだ。
「じゃ、一緒に食べよう」
 もう一度今度は家族全員でいただきますと言う。
「皆で食べると美味しいな!」
 さつきはにっこり笑った。

—END—