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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 短・中編集(参照300突破感謝!) ( No.56 )
- 日時: 2014/08/04 19:07
- 名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)
ことわざ『頭隠して尻隠さず』
「いーち、にー、さーん、しー、ごー、ろーく、しーち、はーち、きゅー、じゅー……もういいかい?」
「もういいよ」
「まだ、あと10秒」
夕日で赤く染まる公園で小学校低学年くらいの子達がかくれんぼをしていた。
私はそれを本を読みながらBGMのように聞いていた。
しかし、ふと顔を上げた瞬間面白い場面が目に飛び込んできた。
その子は、頭を茂みに隠していたが、足の方は全く隠れてなかった。
その光景に笑いをかみ殺してしまう。
しかし、30代の男性が小学生を見て笑いをかみ殺している光景はとても気味が悪い。そう思い視線をさっきまで読んでいた本に落とす。
しかし、さっきまで面白おかしく読んでいたこの本がさっきの光景に比べると急に味気ないもののような気がしてやめた。
この状態で本を読むのは頭に入らないし意味がないだろう。
「もういいかい?」
『もういいよ』
隠れている5人の子が一斉に返事をする。
「あ、勇樹君、見つけた!」
私のみていた頭だけ隠した子が一番最初に見つかった。
「何で分かったの?」
不思議そうに問いかける彼の姿に私はまたもやふきだしそうになる。
自分では気付いてないらしい。
「だって、足、隠れてなかったもん!」
鬼役の女の子がそう言って笑う。
「そうなの? 隠れたつもりだったのになあ」
残念そうな表情の彼に鬼役の女の子は
「とにかくあと4人、見つけるよ!」
と手を引っ張っていった。
その光景を見送った後私は
「帰るか」
と腰を上げた。
『頭隠して尻隠さず』
意味:一部分の欠点を隠しただけで全体を隠してないこと。
—END—
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