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Re: 神の憩い ( No.13 )
日時: 2014/05/05 21:15
名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

——・・・。。


もうすぐ、耳から聞こえる音も

途絶えてしまうのだろうか。



最近 聴覚が薄くなっているような気がする。
だんだんと、きっと能力が薄れてきてるんだ。



触覚から無くなっていき、次に視覚 そして嗅覚、味覚と続き最後に聴覚が消えるのだ。

叫んでも、喘いでも声が出ない。


「まだ、植物状態の人には生きられる可能性があるんだ」

「———じゃあ、もしかしてかえでは…。」

「でも いまは、暗くて夢しか見れない何もない所を彷徨っているような。それと一緒だ」

「———俺だったら耐えれなくて泣くかも」
「じゃあ、かえでは、お前より強いんだな」 

脇で会話する人の声も、たまに聞こえる。

(わたしのこと?)

たびたび、お見舞いに来てくれる、ゆめにでてくる少年、漆雫翔太。
いつも、サッカーボールを手に来てくれるんだよね。

毎週火曜日、来てくれる。

嬉しい。

嬉しいけど



わたしは

貴方としゃべれない。





           ф


小さな子たちを、数人引き連れ、
手を引いて歩く女の子の姿が映った。


「まあ。黎ちゃん。今日もやってるわね!頑張りなさいよ!!」
と、おばさんがバンバンとわたしの肩を叩く。

(また…!)
おばさんの手に握られた、小さなかごを見て うれしくなった。

「ありがとうございます。今日も、来てくださったんですか?」
止まって、おばあさんに言うと、小さな子たちは、いっせいにおばさんに集まる。

「また来てくれたんだ〜!!」
と。

わたしたちは孤児だ。

孤児とは、親が居ない子供のこと——…。


普通の。

その他人が思う「普通」という基準に満たないわたしたちは、
今までに何度も、けなされたり卑下されたり、周りと違うとみられてきた。


そして 孤児は「孤児院」という場所に集まって、生活するのだ。


ここは 「憩いの森園」という、孤児院だった。

そばに憩いの森公園というものがあって、それにちなんでなんじゃないかなと私は思う。

このおばさんは、いつも孤児院に、寄付をしてくださる心温かい人だ。

さすがに孤児の養子としての引き取りは難しいらしいが、

毎日のようにおやつを持ってきてくれたり、子どもたちに勉強を教えたりと ものすごく孤児院内では愛情深い人となっていた。