コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺の学費=彼女達の家庭教師代(勉強ネタ多め) ( No.28 )
- 日時: 2014/08/04 00:47
- 名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)
参照200突破!
遅いよ、となるかもしれませんが番外編です。
メアリが主人公です。
メアリの放課後
「今日一緒に帰ってもいい? あ、あの分からないところがあるから」
私はそう声をかけてた。声をかけた相手は
「ああ、いいぞ。どこが分からないんだ?」
加藤光。私達の家庭教師みたいなものをしてくれる。学園長の命令で。
別に分からないところはない。
強いて分からないものをあげるとすれば、
——自分の気持ち
ぐらいだろうか。
私は今日、彼が緑の頭をなでた時胸が締め付けられるような気持ちになった。
あれはいったいなんなのだろうか?
「そういえばさ、どこで勉強する?」
光が訊ねてくる。
その言葉に私は
「光の家」
と勝手に私の口が動いていた。
「お邪魔します」
私がそういいながら入ると一足のサンダルが目に入った。
ひまわりがついた女物の靴。
「……もしかして、彼女?」
光に聞くと
「ただの幼なじみ」
と笑って返された。
少しほっとしている自分がいることに驚く。
きっと、彼女だったら邪魔になるかもという不安がなくなっただけだと言い聞かせる。
「あれ、こーちゃんその子誰?」
私が入ったとき向日葵みたいな笑顔の女の人に光が問いかけられていたのを見た。
こーちゃんってもしかして光のこと?
やっぱり恋人なのかな?
「安藤メアリ。俺が家庭教師してるっていったろ? っていうかその呼び方やめろ」
でもその割りに甘い空気がないから幼馴染というのは本当みたいだ。
「私は向日葵って言うんだ。よろしくね。メアリちゃん」
彼女はそう言って私に微笑む。
「あ、えっと、よろしく」
私は少し戸惑い気味に返す。
「じゃ、勉強するか」
光はそう言ってリビングに行く。といってもつながっているので移動は長くないが。
「で、どこが分からないんだ?」
光に聞かれて私は少し考える。別に分からない問題はないが宿題をやっていれば出てくるだろう。
幸か不幸か私は頭がよくない。
「えっと、ここ」
社会のワークで分からないところを指差す。
「ここか……。ここはね」
分かりやすく説明してくれるが全然頭に入ってこない。
だって、説明してくれる光の顔に目がいってしまうから。
こんなんじゃ駄目だ! と何とか平静を保とうとするが
「メアリ、大丈夫か?」
と光に顔を覗き込まれてしまい、さっきよりも心拍数が上がる。
「だ、大丈夫だから!」
そう言ってうつむくと
「そうか……」
と光はさっきのように説明に戻った。
やばい、嫌われちゃったかな?
でもフォローの言葉もでてこないので黙ってしまう。
かわりに説明の言葉に耳を済ませる。本当はこれをしに来たんだし別にいいけど、と心の中で言い訳してみる。
しばらくして宿題が全部終わる頃、夕食が準備できたらしく
「こーちゃん、カレーできたよ」
と光が呼ばれていた。
「じゃあ、もう帰るね。分からないところも分かったし」
私はそう言って帰る支度をする。
「あ、メアリちゃんも食べてく? もう夜遅いし」
嬉しいお誘いだが、流石にまずいだろう。
「別に——」
「いいじゃん、食ってけよ」
別に気を使わなくていいよと言おうとしたのに、光がさえぎる。
「こーちゃんもこう言ってるし、どう?」
向日葵さんがそういうので私は
「はい」
と頷いてしまった。
「ありがとうございました」
夕食後、私は深々と頭を下げた。
「いいよ。それより途中まで送ってくよ」
光がそう言ってくれた。
「ひどい、私にはそういうこと言ってくれないのに……」
向日葵ちゃんが少しすねたような顔を見せる。
「だってお前このマンションの同じ階だろ。隣じゃないけど」
それに対し光はからかうような口調で言った。
「あ、大丈夫。一人で平気」
私は流石に送ってもらうのはまずいと思い、断る。
「でも、夜中は変なやついるし……」
食い下がる光を見て私は
「じゃあ、駅までお願いできるかな?」
とお願いしていた。
駅から5分もしないうちに着くしそこまでで十分だ。
いつもは自転車で通っているが、流石に自宅まで送っていってもらうわけには行かない。
自転車はここに置かせてもらって明日取りに行こう。
「分かった。じゃあ、向日葵おやすみ」
「うん、おやすみ。メアリちゃんもおやすみ」
「おやすみなさい」
挨拶をして向日葵さんと別れる。
「送ってくれてありがとう」
二人並んで歩く夜の道。
涼しい風が心地よい。
「まだ、駅についてないよ。そんな事気にすんな」
頭をなでられる。
「でも、ありがとう」
またお礼を言う。
「後ちょっとで着くな」
駅の建物が見えたとき、光は呟いた。
「本当にありがとう」
私はそう言って笑った。
「あと、お礼です」
光の頬に軽く唇で触れる。
「メアリ? どうしたの、急に?」
焦り気味に聞いてくる光に
「感謝の、気持ちです」
と笑った。
これじゃ、本当に感謝の気持ちと思われたかもしれないけど別にいい。
だって少しは進展したような気もするし。
—END—
あとがき
なんとかメアリの恋心(?)書けた……。
次の企画は緑かな?