コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺の学費=彼女達の家庭教師代 ( No.3 )
- 日時: 2014/04/30 18:56
- 名前: 夕陽 (ID: e6h1dNNB)
SHR(プロローグ)
俺は今年の春、忍学園(しのぶがくえん)に特待生として入学した。この学校は中高一貫性で中学のときは特待生にはなれないが、中学三年のテストで上位三人には特待生の権利が与えられる。
俺はその対象だった。
特待生になれば多少とはいえ授業料が安くなる。それは、家が自営業で食べるものに困るまではいかないがそこそこ苦しい家計にはとても嬉しい制度だ。
実際、特待生の補助金のおかげでぎりぎりだが不自由ない生活を送れているのだから。
しかしある日、困ったことが起こった。
——自分の家の店がつぶれてしまったのだ。
母さんのアルバイトで少しは収入はあるが、俺の学費を払っていたら破綻してしまう。
だから俺は言ったんだ。
「俺、学校辞めるよ」
母さんはもう一度考えなさいとしつこくいってきたが、俺の決意は固かった。
そして次の日、学園長室に退学の旨を伝えにいった。
伝えに行こうとしたのだが、そこで想定外の出来事が起こった。
「お前の店がつぶれたから生活費に苦しくなって退学しようとしているのだろう?」
何で分かったのか気になったが〝忍者の末裔”と異名を取る学園長のことだ、あちこちにある情報網のどこかから聞いたのだろう。
「でも、本当はやめたくない。アタシにはそう見えるが」
図星だ。
ちなみに学園長は女である。
「そんなお前にいい方法を教えてあげよう。生活が苦しくならない、しかもお前が学校を辞めない方法を」
腕を組んでにやりと笑う。その顔には自信がはっきりと出ていた。
「そんな方法、あるんですか……?」
疑うのも失礼かもしれないが、そんな方法あるとは思えない。
「ああ。ちょうどお前に頼みたいことがあったんだ。それを引き受けてくれたらお前の学費はただにしよう」
そんな上手い話があるのか?
俺は眉に唾をつける。
「どうやら疑っているようだな? 確かにそんな上手い話はなかなかないだろう。でも、本当だ」
本当だとしたらどんな事をやらされるんだ?
力仕事の可能性が高そうだが。
「それはな」
学園長は椅子をクルリと180度回転し、窓の外を見つめながら言った。
「家庭教師をしてほしいんだ」
そうか、家庭教師をしてほしいのか。
……一体誰の?