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Re: 俺の学費=彼女達の家庭教師代(勉強ネタ多め) ( No.31 )
日時: 2014/08/31 07:08
名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)

14時限目 歴史 大化の改新・律令国家の成立と平城京

戸籍を元に口分田が与えられ死ぬと国に返すという制度をなんというか。
「収授法」
 メアリは惜しいな……。班田がたりない。
「班田収授法」
 緑は正解だな。
「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」
 真田先輩……。
 この答えには絶句するしかない。

「じゃあ授業始めるぞ」

 いつも通りの言葉を言って授業を始める。

「今日は一気に進めるからな。はじめに大化の改新のこと。大化の改新は何で起こった?」
「えっと確か蘇我氏に対する不満が高まっていたからだと思います〜」

 緑はやっぱり歴史に関しては優秀だな……。

「そうだ。じゃあ大化の改新を起こした人物は?」
「……中大兄皇子と藤原鎌足?」
「藤原鎌足はその時は中臣鎌足のはずです〜」
「二人とも正解」

 あっさり正解が出る。
 皆勉強してるのかな?

「蘇我氏を倒した後二人は政治の改革をする。例えば豪族が支配してた土地や人を国家が支配する仕組み、公地公民が出来たな。……ところで皆は何で大化の改新って言うか知ってるか?」
「確かその時の年号がはじめて“大化”と定められたからだろう?」

 真田先輩も最近正解率が上がった気がする。
 いい変化だ。

「じゃあ次行くか。次は律令国家の歩みだな。新羅が百済や高句麗を滅ぼすと日本は大軍を送ったが新羅と唐の連合軍に敗れてしまった。この戦いをなんていうか分かるか?」
「白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)ですか〜?」
「そうだ。そして話は変わるが中大兄皇子についてだが即位して天智天皇となりいろんな政治の改革を進めるんだ。どんなのがある?」
「1日のうち12時間は寝ていいことになったということだろう」

 真田先輩が自信満々に言う。
 そんな改革、ありませんから!

「全国の戸籍を作る……ですよね?」
「緑は正解。真田先輩は何故そんな答えになるんですか!」
「なんとなくだが」

 あ、やっぱりそんなに成長してなかったや。

「今、失礼な事考えてなかったか?」

 何で分かったんだろうか?

「顔に出ている」

 真田先輩、心が読めるのか?

「ちなみに人の心は読めない。でも何となく考えている事は顔に出るからわかる」

 すごいな……。
 感心した目で見てると真田先輩は

「そんな目で見るな!」

 と怒られた。でも、実際すごい。

「……早く続き」

 そんなやり取りを続けてるとメアリから続きを促す声が上がった。
 確かにテスト前だし急がないとな。
 せめて理科と社会はいい点を取ってもらいたい。

「で次は天武天皇についてだ。天武天皇は大友皇子との戦いに勝って即位した。この戦いをなんていう?」
「……壬申の乱?」

 疑問形で聞いてきたのはメアリ。

「正解だ。それで話は戻すが天武天皇は飛鳥に都を移したり律令の編さんを命じたりしたんだ。その後即位した持統天皇は藤原京を作り、律令制度を実施する準備を整えた。このころ「日本」という国号が定められたと考えている」

 そこでちらりと時計を見る。
 もうそろそろ下校時刻だ。

「じゃあ俺の家行くか」

 そう提案すると皆は

「……うん」
「はい〜」
「そうだな」

 とそれぞれの反応をして荷物をまとめ始める。
 俺も同じように荷物をまとめて皆が教室から出たのを見計らって鍵をかけた。

 鍵を職員室に返し、家に帰る。

「はい、どうぞ」

 一応お互いの事は口頭で伝えてあるので大丈夫だろう。
 台所にいる向日葵に

「生徒来た」

 とだけ言って台所とカーテンで仕切られているリビングに入る。

「じゃあ続きをはじめるか。701年、唐の法律に習った大宝律令が作られた。ちなみに律と令はそれぞれ意味を表しているんだが何か分かるか?」
「律は刑罰の決まり、令は政治を行ううえでのきまりをあらわしているはずです〜」
「そうだ。そして律令に基づいて行う国家を律令国家という。そのままだから分かりやすいな。律令国家は天皇と貴族が中心となった。710年にはある都が新しい都として作られた。この都の名は?」
「……なんと立派な平城京だから平城京?」

 メアリが語呂あわせとともに答えてくれる。
 もちろん正解だ。

「そうだ。で、ここから平安京に移るまでの80年近くを奈良時代というんだ。あと少しでテスト範囲終わるな……」

 最後の言葉に皆はうれしそうにする。
 そろそろ時間が迫ってきてるしな……。

「次いくか。平安宮と呼ばれる平安京の北に置かれた区画には天皇の住居や太政官の役所などが建てられた。そしてこの頃和同開珎という貨幣も発行された」
「……和同開珎ってどういうの?」

 メアリが首をかしげながら聞いてくる。

「円形の真ん中に四角い穴が開いてあるもので周りに和同開珎と書いてあるものだ。教科書に載ってると思うから見たほうが早いぞ」

 そう言って教科書のページを口にするとメアリはそのページを開き写真を見た。

「分かった。ありがとう」

 微笑んでお礼を言われて少し照れてしまうがおくびにも出さないようにする。
 だってそれに気付かれたら誰かにからかわれそうだし。

「地方は多くの国に区分され、国府がおかれた。更に都から国司が派遣されて郡司を指揮した。他にも九州地方の政治や外交や防衛にあたる大宰府、東北地方の政治や軍事に当たる多賀城が造られたり都と地方を結ぶ道路には駅も作られたりしたんだ」

 そう言って時計を見ると8時近い。

「これで終わりだけど皆親は心配してない?」

 念のために聞いておく。

「大丈夫、電話したから」
「私も大丈夫です〜」
「僕も大丈夫だ」

 皆大丈夫なようで安心だ。

「ついでにご飯食べてく? 向日葵が作った料理結構美味しいんだ」

 そう提案すると皆首を縦に振ってくれた。
 その日は久しぶりに大人数で食べた。

     *     *     *
あとがき
長くなってすいません。
しばらくはこれくらい長くなるかも……。