コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 俺の学費=彼女達の家庭教師代 ( No.6 )
日時: 2014/05/01 22:42
名前: 夕陽 (ID: e6h1dNNB)

一時限目 オリエンテーション

「これがその資料か」
 俺は学園長に渡された家庭教師をしてほしいと頼まれた生徒の資料をぱらぱらとめくる。
 とりあえず何度か見たので名前と顔、得意教科と苦手教科は覚えているが、趣味や嫌いな食べ物などは全く覚えてない。
 俺は一人ずつ名前と顔、得意教科と苦手教科を思い出してみることにする。

 一人目は安藤メアリ。両親どちらも日本人で、生まれも日本だがしばらくの間外国にいたためか日本語が苦手らしい。その分英語はリスニング、ライティングはもちろん発音がすばらしく、外国人とまともにしゃべることが出来るらしい。顔は……茶髪と茶色い瞳が印象的だ。

 二人目は森緑。緑と書いて“りょく”と読むらしい。名前のあらわすとおり、緑色の髪の毛と瞳をしているがそれぞれかつらとカラコンらしい。この学校ではあの学園長がルールを決めているので、こういった変装用具の持ち込み・使用は禁止されていないからな。ちなみに学力の方は、ファンタジーがあふれる回答を多々して減点されているらしい。

 三人目は真田真里……先輩。この人が一番厄介だ。なぜなら赤点常連、留年もしている。だからこの人は同じ高校一年生にも関わらず十七歳だ。一応先輩付けして呼ぶが、学年は変わらない。ただ基本5教科が苦手なのに対し、体育はすごい。ここの学園には入れたのも陸上でいい成績を残せたからといっても過言ではない。一部では留年にしたのは少しでも学園にとどめたいためという噂もある。

 とりあえず、しばらくの間はこの人たちを教える事になりそうだ。
 俺は勉強するために与えられた部屋を目指した。

「ここが勉強用の部屋か……」
 俺は深呼吸して緊張を解こうとする。
 そう簡単には解けなかったが少しは楽になってきた。
 俺はドアを横にスライドする。

「……え?」

 これがこの部屋での俺がはじめて発した言葉だった。
 なぜならこの部屋には、誰一人としていなかったのだから。

「とりあえず、探しに行くか」
 俺はとぼとぼと歩き出した。

「やっと見つけた」
 ため息をつきたい気持ちになるが、これ以上幸せが逃げられては困るのでぐっと押さえ込む。
 皆、このことを知らなかったらしく帰ろうとしていたので慌てて引き止めた。……学園長も伝えてくれればよかったのに。
 そして俺は三人を引き連れて勉強用の部屋に戻った。

「とりあえず最初は自己紹介をするか」
 お互い知らないまま勉強するのも嫌なので今日は自己紹介だけにしよう。……完全下校時刻まであと十分くらいしかないし。
「俺からするな。俺は加藤光。去年の後期期末は2位だった。よろしくな」
 俺は手早く自分の番を終え、次は誰がやる? と視線で問いかけた。
「じゃあ、私が。私は安藤メアリ。日本語は、苦手。よろしく」
 そうすると安藤さんが前に出てきて自己紹介をしてくれた。ちょっとイントネーションが怪しいが日常生活には支障がないレベルの日本語に感心してしまう。
「緑は森緑って言うんだよ〜。好きな色は緑色なの〜。よろしくね〜」
 森さんはのんびりとマイペースにしゃべっていた。ほのぼのした雰囲気がどこか幼く感じられる。
「僕は真田真里だ。真田先輩と真里先輩だから先輩と呼べ」
 真田先輩は、背が高くかっこいい印象が強かったが口を開いた途端、そのイメージが壊れた。っていうか接続詞の使い方間違ってますって。
 とりあえず、明日から勉強するか。
 完全下校を促す放送を聞きつつ俺は
「今日は勉強会は終わり。明日から本格的にやるから忘れずに放課後来てね」
 と皆に解散宣言をした。