コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *再恋華*(実話) 8話更新! ( No.25 )
- 日時: 2014/07/13 18:21
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: J3j8HjC2)
- 参照: 好きでいたって 歪んでく内声
第九話『二年ぶりの姿』
結局突然の男子からのコールの疑問は晴れぬまま、放課後。
この日は久しぶりに中学校からの友達——町上まなと宮田優と遊ぶ約束をしていたので、二人と一緒に帰ることになった。
「……あ、依麻ちょっと待ってね。元彼にネクタイ返さなきゃ……」
まなはそう言い、自分のしていたネクタイに手を掛ける。
……そう、私の通っている高校では、カップル同士ネクタイを交換するという謎の伝統がある。
付き合ってる間はいいが、別れたらお互い返すのに気まずい……という難点があるので私はしない派だが、いや、まず彼氏自体出来ない訳だが。
周りは皆、カップル同士ネクタイ交換をしていた。
まなは最近彼氏と別れてしまい、今ネクタイを返すのに苦労していた。
そういうのを見ていると、やはり私はいつか彼氏が出来たとしてもネクタイを交換したくないな……と思う。
そう思いながらまなと優と歩いていると、壱がドアの前で立っているのを見かけた。
相変わらずだるそうなオーラだなぁ……。
壱はブレザーの袖をまくっていて、ズボンには手を入れている。
今日の壱はマスクをしていて、尚更見た目はチャラい感じだ。
……なんだか、中学の頃よりチャラくなった?
そう思った瞬間、
「や、どうしよー! 壱!!」
まなが壱に向かって飛びついた。
壱は軽く目を見開き、驚いている。
まなの行動に、私も驚く。
そういえば、二人は高校一年生の最初の方付き合ってたんだっけ……。
そして、まなから『私と壱は本当は両想いだった』って聞いて——……。
ふと思い出してしまったその記憶に、私の顔は熱くなった。
……って、なんで熱くなる自分!!
顔の熱を冷まそうと数回瞬きをし、もう一度壱とまなを見る。
今度はまなが壱の腕を引っ張っていて、私は思わず二度見してしまった。
「やぁー、壱! どうしよ本当」
「いや、俺に言われても」
笑い交じりの壱の声。
なんだか、久しぶりに近くで壱の声を聴いた気がした。
というか、距離が近い……!!
久しぶりに近い距離で見る壱は、やはりかっこよくて。
……なんか、中学の時よりかっこよさが増してる……?
そう思いながら、思わずガン見をしてしまう自分が居た。
「馬鹿! 壱の馬鹿!! ばーか!!!!」
「なんで俺に言うのさー」
まなが壱の背中を叩き、壱が目を細めて笑った。
そこで私は目を伏せる。
相変わらずの壱だけど——。
なんだか、昔と変わった。
昔はもっと愛想がなかったし、女子とはまともに話せないくらいだったのに。
今は普通に話してるし、教室でもよく笑うようになったし。
なんというか……オーラが柔らかくなった?
そりゃあ二年の月日が流れてるし、当たり前だけど——。
考えてる間に壱はいなくなっていて、思わず目で探し振り返る。
既に遥か遠くに居る壱の背中を見つめ、なんとも言えない気持ちになってしまった。
……この気持ちは、なんなんだろう。
二年前に終わった、はずなのに。