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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ラナンキュラスと少女 ( No.11 )
- 日時: 2014/05/11 13:27
- 名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: AwgGnLCM)
あの建物に入った時と同じように、否、それより激しく。
自分の家の、地下室のドアを蹴り飛ばした。
ぱらぱら、とほこりが舞う。わが家ながら汚い。
「おかえりなさい我が偵察——」
「誰がお前の偵察機だよ」
まさに会話のなんとやら、である。
様々な書物に囲まれ、そいつは何かの調べ物をしているようだった。
待てそこに本を積み上げるなバカ危ないだろうが——
「で、有力な情報は得られたのかな?フェリス」
考古学者であり私の友人でもあるクレド・ベルツが、朱色の目をこちらに向ける。男だが目つきが私より柔らかいかもしれない。
ぐらぐらとした本の塔に若干不安を覚えながらも、彼の応答に答える。
「ああ、あんたがいってたあの一軒家か。
女の子が住んでたんだ」
一人で。
頬杖をつきながら聞いていたクレドが、驚いて目を見開いた。
「お前それ冗談でいって……」
「本当さ」
「……で、どんなんだった?」
ああ、名前はラナンキュラス・リリーだって。
どうもあの子はその名前を好いていない様子だったけどね。
全体的に物静かな感じがしたかなあ。
「……ふぅん」
「ラナンキュラスねぇ、どっかで聞いたことあるな」
待っててフェリス、ここらへんに確か積み上げたはず———
そういいながらクレドはさきほどの書物の塔の整理を始めた。
……嫌な予感がするので、私は部屋の外へと避難する。
案の定、何かが思い切り崩れる音が、扉の向こう側から聞こえた。
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