コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 悲 壮 ( No.5 )
- 日時: 2014/06/02 08:09
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: jyOVwInT)
気付いたら、わたしは森に居た。
とは言っても 「森」とわかったのはついさっき。
静か過ぎて寂しいと思ったけど、ひとり男の子がさっきから傍に居たから それはすぐに和らいだ。
上を見ると青く
下や横を見ると青緑に輝く草が、いきいきと茂っていた。
「——…っ」
仰向けに転がっている自分の身体を起そうと、すると、相手の衝動だろうか、手を貸してくれた。
「ありがと」
とりあえずは手をかりて、上半身だけ起き上がった。
「——…どう、気分は?」
夜のようで暗くて相手の顔は見えないが、火を熾しているので、背だけうっすらと見えた。
視界が眩んで、疲れてるのかなかなか考えることが整理つかない。
(もう 何なのこの気持ち)
今にも、立ち上がって回り込んで相手の顔を見てみたかった。
「——…良くもなく悪くもない。」
どこか素直になれなくて、返事をぶっきらぼうに言ってしまった…。
「——なんで、わたし……ここに…」
自分を自分で見つめて
自分が自分で得体しれぬ存在に思てくる。
「…まだ、知らなくていい。」
相手が振り向いて、至近距離まで顔を迫り、わたしの手を掴んだ。
「——え。」
目の前にある顔と、繋がれた手の二つを交互に見、驚いていると、向こうが口を開いた。
「明日…。全部分かるから。わかりたくなくても…。…俺は、星歌海斗。おまえは?」
何だコイツ。
———…カッコつけてる?!
手まで握っちゃってヘンタイ・・・?——
一瞬過った考えが自分を振り回した。
「——わたしは…。黒花、愛梨。」
「アイリって呼んでいい?」
何とでも呼んでくれ と頷いた。
「——…俺もカイトで良いから。…そうだ。お腹すいてる?」
「—…ううん。あんまり食欲ない」
わたしが言うと、無言でカイトが わたしの口にマシュマロを突っ込んできた。
「わ…」
「そんなやつれてるんだから何か食べなよ」
枝に、焼いたマシュマロ。
「……お…いしい」
本当は全然おいしくないし、今にも吐き出したい気持ちなのに、そうつぶやいた。
カイトは、遠慮なく吐き出せ。と言わんばかりの態度でこちらを見ていたが、
「それならよかった」
と飲み物をくれた。
「カイトだって、わたしとおなじくらいやつれてるじゃない」
わたしが言った。
やつれてはないかもしれないけど、カイトも細い体でいかにも倒れそう。って感じだった。
「——そう?さっき結構食べたから、あとは寝るだけなんだけどな」
と、カイトが呟いた。
(あ)
そっか、わたしが起きるの待っててくれたんだ。
「———空、きれい」
わたしが呟くと、カイトが言った。
「——あれ見たことない?・・・・・・星。」
「わたしの家があるのは、街だから、あまり見えないのよ」
(なんで…カイトは)
こんなに、わたしをしっていて
こんなにわたしがカイトを知っているきがして
こんなに…
(・・・カッコイイ。)
夜だから 薄らとしか見えない顔も、いわゆる「美少年」級の顔立ち・・
(もう 速くここから離れたい——…)