コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.11 )
- 日時: 2014/06/26 15:39
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
青年を私のベッドに運び、押入れから大量に出してきた布団を被せる。今は真夏なのにこんなに暑くしてしまって、熱中症にならないだろうかとも思ったけれど、場合が場合だ。体温が戻ってきてから布団を剥がせばいいだろう。
それから私は、手持ちのスマホからインターネットを呼び出した。ここから青年の病気を割り出せないだろうかと思ったのだ。
症状は……体温低下かな?
調べ始めてから30分後。
検索結果を粗方見終わった私は、スマホの電源を切る。
いまだに寒そうな青年、彼の症状は……。
「……ぜんっぜん分からない」
私は溜息を吐いた。
さまざまな医療系サイト、質問コーナーを覘いてみたものの、体温が低下するような病気は殆どなかった。それらしいと受け取れなくもない病気もあったが、犬の病気だ。
彼が起きるまで待つしかない。何しろ素人だし。
しかし、本当に苦しそうだ。私は彼に毛布をかけながら眉根を寄せる。やはり救急車を呼ばなくてはならなかったのではないのだろうか……?
急に、自分のしたことがとんでもない間違いのように思えてきて、私は不意に逃げ出したくなる。
「……スポーツドリンク買ってこよ」
アパート最寄の自動販売機。そこからスポーツドリンクを手にして帰ってきた私を出迎えたのは信じられないような光景だった。
青年の柔らかな光を放つ髪。その隙間から、明らかにネコ科動物のものと思われる耳が飛び出していたのだ。
唖然としている間に青年の体はまるで特撮か何かのように変化する。
暫くして、ベッドの上にいたのは青年ではなく、鋭い瞳の日本猫だった。
人間大の。
言葉を失うことしかできなかった。
キャパシティの限界を超えると人は気絶するというけれど、並々ならぬこの状況に至っても私が意識を保っていられるのは、恐らく現代っ子ならではの「知識」があるからだろう。
すなわち、ライトノベル、アニメの。
人よりも多少多く本に嗜んでいる私にとっては、人間大の猫はファンタジー世界での定番といっても過言ではない。まぁ、まさか本当に出会うとは思っていなかったけれど。
「……えっと、これ、は」
息に近い程小さい声を私は絞り出す。
人間大。
種類は日本猫。
つまり。
「化け猫」