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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.100 )
日時: 2014/08/27 19:06
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)

「碧っ!?」

着物の裾も踏んづけながら駆け寄る。

「___シャッ」

鈍い音がして、鞠が狼を斬ったのが分かる。

バタン。

無機質な音で狼は地面に倒れた。

「ねえ、碧。碧っ!」

出会ったばかりなのに。

ここからもっと碧のこと知りたかったのに。

彼の目は閉じられ、唇は真っ青だ。

碧の背中から血が溢れ出す。

懐を探るが、生憎、布は無い。

自分の着物を締めている帯を引っ張り、碧の背中に当てがう。

「碧…碧っ…」

泣きそうになりながらも彼の名を何度も呼ぶ。

「ねえ…ねえ」

「雨揺さま…とりあえず、碧さんの家を探しましょう…」



周りに広がる狼の身体に恐怖を覚える。

碧をおぶり、ふらつく足取りで山を降りていく。

やっぱり、碧は男だし、雨揺よりも身長がものすごく高いこともあり、重い。

「ねえ、碧…起きてよ…」

碧が…という不安と焦り、重さに胸が潰されそう。

足を引ずって歩いた。