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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.48 )
日時: 2014/07/17 19:07
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)


しばらく間があった。

その人___唯__は、いきなり雨揺の手首を掴むと抱きしめた。

優しい感触。

「行きますよ…」

そして私を抱いて走った。

鈴の声が聞こえたが、振り返らなかった。

「__唯」

唯は、私を助けてくれた。

「ありがと」

その言葉に少し驚きながらも、その人は優しく微笑んだ。

___幼い頃と変わらない。

___変わらない。ずっと。

雨揺は手を引かれ、日の光だけが残っている空の下を駆けた。

ーーーー

「雨揺さまーっ!」

暗くなった空の下、雨揺は紫亜に呼ばれて振り返った。

「帰っていらしたのですねっ!」

心底嬉しそうな顔をした。

「紫亜…ごめん」

無理をしているのであろう。

あんな事があった後なら、無理をしない方が不思議だ。

「雨…揺…さま…」

紫亜は糸が切れた様に口角を曲げた。

目の縁で涙が光る。

そんな紫亜を、雨揺は、“大丈夫”と慰めつづけた。

“ごめんね”と。