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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.49 )
日時: 2014/07/19 08:03
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)



「…雨揺さま、優さまがいらっしゃいました」

紫亜が早足でこのことを伝えに来たのは、鈴と会ってから、4日だった。

未だに心に残るあの出来事。

二つ連続だった。

忘れようとしても忘れられないのだ。

両方とも。

「え…優…」

胸が締め付けられる。

「…会う…ちゃんと聞くの」

あの日の鈴と一緒にいた時の優の目。

とても、歪な色をしていて。

いつもとは違う。

怖い目で。

それはきっと鈴ではなく、私に対するものであったこと。

優が、私と鈴の関係を知っていること。

聞かなきゃ。

拳を握りしめ、雨揺は胸の中の恐怖を消した。


ーーーーー
・・・・
「ああ…優、久しぶり…」

父と母と雨揺…そして彼女だけの部屋。

雨揺はあえて“久しぶり”と言った。

彼女の反応を確かめるためだ。

「ええ…雨揺、しばらく忙しくて会えなかったから…とても嬉しいですわ」

「そう…」

「ああ、鈴さまもいらっしゃっているのよ。お会いになる?」

「!?」

鈴…が。

でも、私に会いに来ているのではない。

“優の婚約者”として、優について来ただけだ。

彼に会ったらまた心が揺らいでしまう。



「___遠慮する」

「そう…まあ、いい。“私と鈴さま”の 婚約式…たのしみにしてて」

優は最後まで笑顔を壊さずに言った。

「もちろん。とても楽しみ」

嘘。

楽しみな訳がない。

好きだった人の婚約式なんて。

違う。

もう好きではない。

好きじゃない。

全然。全く。

「本当に…楽しみ」

雨揺は精一杯の笑顔を見せた。