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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.53 )
日時: 2014/07/22 18:57
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)


雨揺はひと気のない城をうろついていた。

もう、外に行く理由もない。

することがない。

「はあ…」

溜息を漏らした。

最近は嫌なことばかりが起きる。

真のことや、優のこと。

それから____

鈴のことも。

ふふふ…と笑った。

忘れようとしていることを自ら思い出した。

「___なあ、雨揺…話、聞いてくれないかな」

話って…?いいんじゃない?

冗談交じりに言った。

……?だ…だ___

「どんだけついて来たら気が済むの?」

私は腹を括り、震える声を抑えた。

「…雨揺と縒りを戻すまで」

何を言っているんだろう。

自分から優を選んだくせに。

「___なあ、俺の本当の本当に好きな人知ってるか?」

「…優。私へはニセモノ、でしょ?」

「___ちがっ」

「嘘っ!嘘だ!」

ありったけの力をこめて叫んだ。

今更言わないで。

もういいから。

「雨揺だから」

彼は私に近づく。

恐い。

貴方はお姉様みたいにいなくなる。

絶対に。

…2人とも哀しむんだ。

だから____。

「もう、辞めて。私には唯も紫亜もいる。2人とも私の味方」

「あ…ゆ…」

「ごめんなさい。鈴…いや、鈴様。私が貴方を避けたのは優のことだけではないの」

「…」

彼は何も言わない。

「…婚約式、楽しみにしてる。優と___鈴様の」

それだけ言って去っていた彼女の笑った顔は、だれもが見惚れるほど綺麗だった。