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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.55 )
日時: 2014/07/24 20:13
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)


そっと雨揺を横たえ、唯は立ち上がろうとした。

「お姉様…」

雨揺の譫言が耳に入り、唯は少しうろたえた。

「雨揺さま…」

それでも、しっかりと歩き、障子に手を掛ける。

「行かないで…」

その言葉に唯は…

「俺がいます…この間のような時、助けますから」

「…ありがとう」

本人は気づいていないかもしれないが。

彼女の頬に____


キスをした。



「…ありがとう___鈴」

彼女の透明なほおを一筋の涙が光った。

「…鈴?」



ーーーーー

「どういうことですか?」

唯は聞き返した。

「其方、そんなに耳が遠かったか?」

___主様。

つまりは、雨揺の父。

「雨揺は…養子に出す。いずれ、相手の家を継ぐだろう。我が城にとってもそれは名案だ」

___雨揺が…養子に?

唯は目を見開いた。

「あの姉の様にさせない様に今まで外に出さなかったが…この様に大きくなるとなぁ…」

流石に外に出たくもなるだろう、と。

そのためだけに、雨揺を閉じ込めた。

拳が震える。

____いつの間にか隣にいた紫亜が唯の手を握る。

「我慢…だよ」

紫亜は唯に語りかけ、そっと耳を傾けた。