コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.6 )
日時: 2014/08/23 11:04
名前: もこもこ(・v・)/ (ID: K79nUGBS)

「雨揺様、お早うございます。奥方様がおまちでございますゆえ、お支度をなさってください」

「はぁい」

乳母・真 の声で目を覚ました私は重たい目をこすり、起き上がった。


サァッ___

快適な音がして、障子があく。

「雨揺様、着させて差し上げます」

真はそういうと、雨揺の着物を選び始めた。

「これでしょうか…」

真は悩みつつ、春にちなんだのかピンクの桜の着物をてにとり、雨揺に着させはじめた。



「よいしょっと…完成です!
紫亜も来なさい」

真の声に、しばらくされるがままにされていた雨揺は安堵の気持ちでいっぱいだった。

それにしても___

「は…はい、お母様」

弱々しい声がして、障子が3cmほど
開く。

「紫亜っ!」

「ひっ…はっはいっ!」

紫亜は、オロオロしながらいって
私の後ろに来た。

真の娘、紫亜はかなりの人見知りで
かなりの___ドジっ子だ。

「さあっ!次は、髪、ですよ!」

ニッコリと微笑む真。

「う…」

まだだった…。終わったとおもったのにな…。

「えと、この着物には…うん…え…あ!…あ…!紫亜…こうして…で…」

真は何か閃いた様子で、
少しニヤけた。



こ…怖い。

紫亜もその不適な笑みに固まっている。

すると…


「___雨揺様、泰様もお方様もお父様もお待ちでございます。早くしてください」

障子の向かいで、機嫌悪そうな男の声。

…唯だ。

冷たいなぁ…。



「分かってるって…。ほら、紫亜、
姫様の髪、やってあげな」

真は少しイラついた声で返した。

「へ…?あ…あぁ、はい」

真の声に紫亜は小さく返事を返す。






私は泰と双子で、紫亜、唯は乳母の子。

紫亜は私の世話係、

唯は泰の世話係だ。

私も泰も、真に育てられた。

「優ちゃんのとこは、2人いるのに…」

何気なく呟く。



優…と言うのは、

ここから一番近い城の姫で、

とても優秀。雨揺の親友である。

城同士の繋がりは良く、よく父達が
会話しているのを見たことがある。

でも、優は気分転換のときにくるだけで、それ以外は学問にふけっている。

雨揺はというと、いつも廊下を走り回り、小鳥と遊んでは追ってから逃げている。

追ってと言うのは、紫亜や真のこと
だ。




「姫様、出来ましたよ。」

ものの数秒で、雨揺の髪は整えられていた。

「さすが紫亜っ!はやいっ!」

「いや、そんなことありませんよ…あ、今日の髪型は何故か特別にしたかったのですけど…とてもお似合いで可愛いです!」

「そ…そうかな…」

「姫様、言葉に気をつけて下さい」

すぐに乳母の鋭い声が飛んだ。

「う…」



「さっさとしろ。雨揺様も、早くして下さい」

冷たい唯の声が響く。



「…はい」

雨揺は従うしかなく、のっそりのっそりと真と共に部屋から出てきた。

「唯は、早とちりだよ…?少しくらい…」

はじまった…。

「母上が遅すぎるんだよ」

「…ちょうどいいよ?」

3人の喧嘩だ。

…いつものことだ。仕方ない。

「だいたい…失礼でしょ?」

「うっせーな」

「酷い…」

「私に向かってそれはなんですか!?」

「別に…」

「…」




「はあ…」

ため息をついた雨揺は、こっそりとその場を抜け出し、母のところへダッシュした。