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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.64 )
日時: 2014/08/02 21:52
名前: もこもこ (ID: fK4g4Hpi)


「じゃあ、帰る」

侍女にそう伝え、着物の裾を引っ張り足を踏み出した。

「紫亜?」

___紫亜がいないことに気づく。

昔から誰かと一緒にならないと嫌だという癖があるのだ。

あの日から、だが。

「紫亜!」

再び呼ぶと、紫亜は困った様子で顔を出した。

「紫亜、帰ろ___」

「…それができないのです。姫様」

「どういう…」

「優さまご夫妻がお呼びです」

「行かない」

会いたくないのだ。

もう。

二度と____。

優にも、鈴にも。

「帰る」

「ねえ___雨揺」

僅かに。

ほんの僅かに、空気が震えた。