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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.74 )
日時: 2014/08/12 07:51
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)

「すご…い」

雨揺の新しい住居は優の城より遥かに大きかった。

「ようこそおいで下さいました」

1人の老人が雨揺を導く。

「まるで迷路見たい…」

微かに笑うと手を握りしめた。

その手首についているのは、

クローバーのブレスレット。

もう片方の手でそれを握りしめた。

「泣かないんだから」

唇をぎゅっと締めて、道を歩いた。


「どうぞ」

暫らくして、老人はこちらに振り返り告げた。

「主がお待ちです」

どんな人なのだろう。

優しい人だったらいいな。

しかし。

どういう人だとしても、好きにはなれない、と思った。

鈴を超える存在などいないのだ。

自分にとって、鈴は全てなのだ。

唯のことも好きだが、恋愛対象としてはみれなかった。

だから、雨揺は分かった。

自分には鈴しかいない、と。

決して、自分の心は動かない、と。

これは、自分の望むことではない。

反論しなかったのは、恩返しからで。

「どうぞ」

再び老人は呼びかける。

「ええ…」

返事をし、襖を開ける。

目に飛び込んできたのは、

紫色の目をした、青年だった。