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Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.95 )
日時: 2014/08/23 08:21
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)


「ただいま」

煩った祐季の声に雨揺は筆を持っていた手を止め、振り返った。

「祐季っ!」

彼に縋り付き、叫ぶ。

「なんで…なんでっ!?」

「たまたま早く帰れた。それだけだ」

「違う…なんで私の家族に!?」

彼は笑った。

「自由に」

「え…」

「鞠が言っていた。お前が帰りたがっていると。姉のことに気付いたと」

「祐季…?なにを…」

「雨揺、お前の姉は、分かっただろう?俺の恋人だ」

…知っているに決まっている。

「だから、お前を手に入れて、お前の姉___柳が傍にいるように感じたかった。だが、お前に抱きすくめられて気付いた。自分は__雨揺、お前を求めていると」

「…」

「だから、自ら手放す。お前を柳の様にしない為に」

「姉様の為ってなに…何故お姉さまは…」

「俺の父上だ」

頭を叩かれた様な衝撃を受ける。

病気じゃ…。

「柳を気に食わず、毒を盛った。それで柳は病気になった」

「姉様…は…」

「すまん。すまん、雨揺。俺は彼女を守ってやれなかった。俺のせいで彼女は___」

「彼女を止められなかった私も悪いの」

涙を目に溜め、雨揺はかすれる声で言った。

「違う。全て、俺が___」

「終わったことなの。全て」

「そうか…なあ、雨揺」

「はい」

彼は唇を少し上げて、言った。

「さっきの自由ってことは、お前を外に出すということなんだが」

「え…わ、私行く所なんてない!」

「恋人の所じゃないのか」

「場所が分からないの…」

雨揺は少し頬を染めた。

「使いを渡そう。鞠もだ」

「…ありがと」

そして、彼は私の髪を撫で、言った。

「雨揺____会えて、良かった」

「私も」

最後に彼は私に言った。

お前は、柳に似ている、とても綺麗だ、と。

幸せに、柳と俺の分までなれ、と。


「ありがと…」

雨揺は微笑んでその場を後にした。