コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: お姫様が恋愛しちゃいけないルールなんてありませんっ! ( No.97 )
日時: 2014/08/24 23:46
名前: もこもこ (ID: K79nUGBS)



第五章 揺らぐ雨

「あ…」

頭と心に痛みを感じながら起き上がる。

額から、タオルが落ちる。

「私は…死んだ?」

先程のことを思い起こし、考えてみる。

私は彼に殺され…た?

もう、鈴に会うことは叶わない…?

「…ここ、どこ」

最終的にそんな疑問が残る。

周りを見渡せば、私は布団の上に座っていて、狭い畳の上にその布団が敷かれている状況だった。

「鈴に会った時みたいだな」

そんなことを思った。


「___おい」

「…え」

誰かに声を掛けられ、雨揺は振り返った。

「名前は…」

障子の隙間から見えた、碧くて綺麗な瞳。

「そのまえに。ここは、どこ…」

先程から知りたかったことだった。

「知らねえ家」

「は…どういう…私、死んだの?」

馬鹿か、とその人は障子を全て開け、こちらに出てきた。

「死んで…ないだろうが」

私の頬を掴み、引っ張った。

「いひゃい…」

咄嗟にその人の手を払い、座り直す。

「貴方が…助けてくれたの…?私を…」

頷く彼。

「どうして…」

「なんとなく」

「鞠は…?」

「侍女も」

ありがと、と呟き、彼に質問を重ねる。

「ここは貴方の家じゃないの…?」

「もっと麓だ。俺の家は」

麓…鈴の家には行けるのだろうか。

「暁家の領地?」

「そこからは少し離れている」

「そう…彼方、名前は…」

「…お前は」

「雨揺」

そうか、と呟いた彼は少し間をあけてから言った。

「____碧」

ほんのり彼の頬が赤くなっていることに、雨揺は気づかなかった。