コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中) ( No.35 )
- 日時: 2014/12/28 21:40
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
3-3
「とりあえず、会長が「一口で食えよさもないとぶっ殺す」って目てこっち見てるから、一口で食べようか」
「あんたが一口で食べさせたいだけだよねそれ」
図星なのかなんなのか、理恵はてへっといたずらっぽく舌を出した。まったく、よくわからない子だ。
しかし、会長がこちらを見つめているのは事実。メガネの奥光ってますよ会長!
私は会長を見るのが怖くて、日和たちに視線をそらす。日和はやる気満々な表情で腕をまくっていた。
「よし、一口で食おう」
と日和。
「うん!頑張ろうね、二人とも!」
と理恵。
「もう帰りたい……」
と私。
「嫌なら最初からこなければいいのに」
と、また日和。
「に……に……ごめん、ギブアップだよ」
「仕方ない。にから始まる会話はあまりないからな」
「いつからしりとりやってたのっ!!」
通りで会話が時計回りに繋がっていると思ったらこれだ。なんかもう色々と細かいところでこいつらはアホだ(いつの間にか私もしりとりに加わっていたけど)。
「まあまあ、奈々ちゃん落ち着いて」
「そうだぞ奈々。これ一口で食わなきゃ、会長に何て言われるか」
元はと言えばお前らがボケるから……!という言葉を飲み込み、そうだねと返す私は多分人生でもうどんな奴に出会っても大丈夫だろう。
「よし、頑張れ奈々!」
「全力で応援するね、奈々ちゃん!」
「お前らも食えよっ!!」
素早く応援体制に入る二人に、またもやつっこむ。段々疲れてきたぞ、これ。
「あ、会長が「1はそんなに会長が作ったありがたい料理を食べたくないのか、そうか、なにか罰をやらんとなぁ」って目で見てるよ、奈々ちゃん」
「その会長の目だけからの分析はなに?!信頼性薄いんだけど!!」
理恵は確信犯だな。このやろう。そんなくだらない会話を続けていると、日和が珍しく緊迫した声を出した。
「か、会長がこっち来てる!」
「な、奈々ちゃんファイトっ!!」
こいつらマジで食べない気だ……!でも、ここで食べなきゃ会長は……。
もうこうなったらヤケクソだ!!!!!
私は覚悟を決めてハンバーガーを持ち上げる。でかい。とにかくでかい。口に入るとは思えないが……。
「このぉぉぉぉぉ!!」
ガコッ。
「……顎、外れた……」
【完】