コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中) ( No.36 )
日時: 2014/12/29 10:44
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

※美奈さんのリクエストで、恋愛ものです!!

【雨上がり恋心】

4-1

あの時、私は雨の中をとにかく走っていた。
最近、何かとうまくいかない日々が続いていて、むしゃくしゃしていたのだろう。いっそのこと全部投げ捨てて、何処か遠くへ行きたいなんておもってもいた。
雨が降り始めたのはついさっき。私だって雨の中をわざわざ走ってきたわけではなく、走っている途中に降り出しただけである。
季節は夏。この大雨は恐らく夕立で、すぐに止む。それを走って待って見るのも一つの手だ。
私はいつの間にか隣町へ来ていて、ほぼ知らない、きっとかえりは迷子になるような道を走った。多分、泣きたかったんだと思う。

このまま、消えてしまえばいい。
そしたら自分は楽になれるんだ。

そんなことを考えながら走っていたからか、私は路地裏を抜け歩道に出て角を曲がる時、急にカーブしたために滑って転んでしまった。
びちゃっ。と気持ち悪い音がして、顔面から水たまりにつっこむ。最悪だ。やっぱり、何もうまくいかないじゃないか。
幸い、雨が降り続く微妙な時間帯に人はいなく、ド田舎な町に救われた。
「なんで、私ばっかりこんなこと……」
頬を伝うのは、雨か、それとも涙か。それさえもわからないくらい。
消えてしまいたい。
心の底からそう思った。

その時だ。

大きなトラックがガードレールを挟んだ道路で、ばしゃっと大きな音を立てて水たまりの上を走った。水たまりの水は私の方へ弾かれ、その色は泥が混ざって茶色く変色している。中には石も混ざっているのが見えて、当たったらまあまあな怪我をしてしまいそうだ。
条件反射で、私は目をつむる。

しかし、しばらくしてもあの茶色い水や石は当たってこない。何が起こったのだろうかと、恐る恐る私は目を開けた。

「君、大丈夫?」

そこには、さっきの水がかかったのか茶色くなった傘を持った「彼」がいた。