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Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.42 )
日時: 2015/01/04 17:32
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

4-6

それから、中学三年生、高校一年生と、毎年夏休みに彼と会った。
連絡先も交換して、今年は何時にどこで……と待ち合わせをする。冬に待ちきれなくなったら、他愛もない話をしようと連絡する。
そんな、遠距離な私の恋……。
恋なんて初めてで、これが恋だと気づいたのは最近のことだけど。でも、気づいた時は、テンパりながらも嬉しかったのだ。
それに、毎年話す時間も増えて、彼についてわかったことがいくつもできた。
他の県から来ていること、私より一つ年下ということ、犬を一匹飼っていること……。

たくさんわかっていくうちに、もっと知りたくなっていく。
たくさんわかっていくうちに、もっと好きになっていく。

それがたまらなく嬉しかった。
でも同時に、苦しくもなった。

夏以外は会うこともできず、その間、彼は他の女の子に恋をしてしまうかもしれない。来年、来れないこともあるかもしれない。
ぬぐいきれない不安と、好きになったことへの後悔。ごちゃ混ぜになったそれらが、私の心をかき混ぜていった。




「また会ったな」
「毎年でしょ?」
「まあな」
高校二年生になった今年も、私は彼と会った。一個しか違わないのに彼の身長は伸びていて、身長差が激しい。

縮んだ?と聞かれ、あんたが伸びたんだ!とわめく。
年上なのにーとからかわれ、先輩に敬意を払いなさい!と彼の頬をつねる。
今年あった出来事を話す彼の声と表情を見て、今年も会えたことを実感する。

そんなひと時の時間を、私はゆっくりと噛み締めた。彼もそうだと嬉しいなんて、流石によくばりだろうか。
「ねえ、あんたさ、彼氏いないの?」
「……へ?」
唐突だ。唐突すぎるっ!
きっと彼は私の恋心を知らないだろうから、この質問は彼のただの興味だ。しかし、私は彼に想いを寄せている。
してはいけないとわかっていても、期待をせずにはいられない。
「……いない、よ……」
嘘はついていない。本当に、生まれてこのかた彼氏なんて出来たことないのだ。
彼はおー、同じじゃんと笑う。そして少し頬を膨らませ、リア充とか、羨ましいっつーかなりたいっつーかさぁ……とかぶつくさ文句を言い始めた。
内心は焦りながらも彼の話を聞いてみると、どうやら、彼は告白されてもずっと断ってきたらしい。好みの子とかもわからないし、付き合うとかもよくわからないそうだ。
「やっぱ、好きな人くらい欲しいよなぁ」
そう、彼が呟いた瞬間。私は我慢の限界を感じて、口を開いた。

「私、好きな人いるよ」