コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.43 )
- 日時: 2015/01/05 14:26
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
4-7
「……は……?」
そんな腑抜けた声を出して、彼は大きな瞳をさらに大きくさせる。私はその瞳をじっと見つめた。
「……い、いんのかよぉ……!仲間だと思ったのに、裏切ったなっ?!」
しゃーっ!と猫のようなポーズを取り、彼は威嚇(?)をする。からかいか、いつものおふざけかに勘違いされてしまっただろうか。
私は本気なのに。
「真面目に聞いてよっ!」
私は彼に怒鳴った。彼は何も知らないのに、最低だ。
しかし彼は悪い……と反省したように生意気な口を閉じる。私はやってしまったと我に返って、それでも私は意地っ張りだから、目を合わせられず逸らした。
私も彼も黙ったまま。こんな気まずい空気、いままでの夏にあっただろうか。
彼と出会って、ずっと何も思わず過ごした四つの季節が、夏を待つ苦しさを持って巡った。
秋は紅葉を見ながら、彼も見ているのかな、なんて思って。
冬は雪を見ながら、彼は風邪をひいていないかな、なんて心配して。
春は桜を見ながら、彼と会える日が近づいてくる嬉しさに笑みをこぼして。
彼と会わなければ、何も思わず過ごしていたであろう日々。それが彼と出会って、彼の色に染まっていった。
これがあの、恋っていうものなら。
私は今、彼に恋をしているのだ。
「あ、あのねっ」
「お、おうっ?」
言わなきゃ。ちゃんと、彼に伝える。じゃなきゃこの恋は実らないから。
「す、好きな人ね。その人、最初に会ったときはなんだこの人って、変に思っただけだったの。
ーー…君、大丈夫?…ーー
「構わないでほしいのに、放っておいてほしいのに、私の心配ばかりしてね?」
ーー…とりあえず拭いとかないと、風邪引くぞー…ーー
「あと、お礼も言わせてくれないんだよ」
ーー…そのタオルはやるよ!じゃあな!…ーー
「でもね、今は優しい人だなって思うの。危ない時、いつも助けてくれる」
ーー…危ないっ!!…ーー
「……いつの間にか、好きになってたんだよ」
私は声が震えないように、ゆっくりと話す。一言話すたびに、彼との思い出が鮮明に流れて、その一つ一つを心にしまって。
彼はふうんとだけ言った。多分、それが自分だなんて思っていないだろう。
「そんで、ついでに言うとすっごく恋に鈍いの」
だからおまけしてやるよ。私はわざとらしく呆れて、ため息をついた。
「えぇっ、それ、気づいてもらえないじゃん」
ツッコミどころ満載の言葉。私は必死に笑いをこらえてそうだね……と返す。全く、本当に鈍いなこいつ。
「気づいてもらえなきゃ、告白しちゃえばいいだろ!告白!」
告白……
「……うん、そうだね。告白しちゃおっかなぁ」
私がそう言うと、彼はおう、と笑った。
その相手……
「あなたなんだよ?相手」
まるで、世界が終わりを迎えたみたいに静かになる。私の声を響かせるように、車も、人も、何もかもこの道を通らない。
彼はキョトン……として、数回瞬きをした。
「好きです。私は、あなたのことがずっと好きだった」
多分、次でラストです!すいません長くて……焦