コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: SCORE ( No.6 )
日時: 2015/06/22 20:41
名前: 咲奏 (ID: Uj9lR0Ik)

〈2ページ目〉

俺たちの通う高校、蓮花高等学校。通称「蓮高(はすこう)」で一番有名な部活。それは、間違えなく「合唱部」だ。
合唱の名門、とも言われているし。それに今は……。

天才とうたわれる彼女の存在があるから——



***


「なぁ、聞いたか。今年も合唱部全国大会行ったんだって」
「すげぇな。ってか今年あいつが率いてるんだろ?」
「あいつって?」
「二年の日下だよ。あいつ中学のころから注目されてたもんな。そんでもって先輩押しのけて合唱部の部長になったんだって……」
「何、物知りすぎねぇか。もしやお前、日下のことっ」
「うっせぇな、声がいいんだよ声が!!まぁ、声だけなんだけどな。性格は本当ドライこの上ないって感じで」
「ふぅん」

教室での会話。俺の耳はピクリと自然に動いた。
まさにこれは俺が求めていた存在……。

と、思ったときにはもう足が教室から飛び出していた。

「なぁ、聞いてくれ」

軽音部の部室を開けると、そこにはドラムのスティックを持っためいの姿があった。
あたりを見渡してもめいしかいず、俺は思わず小さくため息を漏らしてしまった。

「ど、どうしたの?桐谷くん」
「遥斗は?」
「あ、さっき「先生に呼び出しくらった」って言って出ていったけど」
「ちぃっ」
「ど、どうしたの?急ぎのようだった」
「いや、別に。ってか、めいにも聞いてほしいんだけど」

俺の言葉にめいは頭にハテナマークを出しながら、小さくうなづいた。

「俺たちの学年にさ、いるじゃん」
「え、誰が?」
「そいつがさ……」
「主語なしで話を進めないでよ!!訳分かんないから」
「あ、ごめん。つい……で、二年にさ日下って奴いるじゃん、合唱部の」
「え、うん」
「そいつさ……って、あ 遥斗お帰り。ちょっとお前も来い」

がらりと扉があき、眠たそうな表情の遥斗が出て来た。

「なに、面倒くさいことならパスだけど」

教室の隅に置いてあったベースのカバーを外しながら、遥斗は言った。
相変わらずのことで、俺はもう慣れてしまっていた。

「まぁ、いいからいいから」
「ちょい、押すなって。如月助けろ」
「あはは、ごめん。私に桐谷くんを止めることはできないかも」

苦笑いのめいをよそに、俺は遥斗を椅子に座らせ話を続けた。

「日下を軽音部に入れる!!それが今後の俺たちの課題だ」

俺の言葉に、二人ともびっくりしたような顔をして「こいつ馬鹿か?」とでも言いたそうに口をパカパカさせていた。
あぁ、馬鹿だから別に何言われても大丈夫だぞ。

この時、俺は詳しくは知らなかった。
彼女のすべてを……彼女の秘密を。