コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

活動1 一義は友達がいない ( No.1 )
日時: 2014/08/14 01:06
名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)

昭和44年(西暦1969年)、関東地方のとある海沿いの街に
「アミティエ総合大学」という巨大な大学があった。
工学部、美術部、医学部、服飾部、調理部、法学部の六つの部門を持つ
大きな大学だ。

「おい、起きろ」
ここは工学部の二年生の教室、工学部の担任の
若山新太郎、40歳(CV:藤原啓二さん)が教室の後ろで
机にうつ伏せで寝ていた学生の頭を教科書で叩いた。
「うぅ……」
学生がだるそうに目を覚ます。
学生の名前は赤塚一義、19歳(CV:神谷浩史さん)だった。
アミティエ総合大学工学部に所属する大学二年生である。
「どーせまた遅くまで起きてたんだろ?」
新太郎が一義に詰め寄る。
「また変なもん作ろうとしてたな?
どこでも行けるドアとか小さくなるライトとか」
「変なものってなんだよおっさん、オレは本気だぞ」
一義が反論する。

一義の将来の夢は発明家だった。
子供の頃から愛読している「SFマガジン」という
SF漫画やSF小説がたくさん掲載されている本に憧れ
タイムマシンを本気で作ろうとしているのだ。

「何が本気だよ、お前先週のテスト7点しか採れてなかっただろ」
「いいじゃんか、7は縁起がいいんだぞ」
「そりゃいいだろうよ、
叩き起こされたのも今月で7度目だからな」
「それは違う!」
一義が必死に新太郎を止める。
教室が笑いに包まれる。
一義はクラスの中でも落ちこぼれだったのだ。

放課後、大学内は同好会などに向かう学生たちがひしめき合っていた。
その群衆の中を一義は無言で歩き続けていた。
「君、日本の未来を憂いてはいないかね?」
ヘルメットを被った男からチラシを渡された。
「日本青軍団員募集」と書かれていた。
「そういうの興味ないんで」
一義はチラシを受け取らず足早に去ろうとした。
「えっ、憂いてないの?」
男が焦る。
「はい」
「ベトナム戦争のこととか、三億円事件のこととか
どうでもいいの?」
「はい」
「あっそ、なんかごめん」
男が頭を下げる。
一義が歩き去る。

数分後、大学近くの住宅街を赤い
フェラーリ・ディーノ(イタリアの
超高級スーパーカー)が走っていた。
「今日は学校どうだったんだ?」
ハンドルを握る式場元治(しきばもとはる)、19歳
(CV:内山昴輝さん)が助手席に座る一義に話しかける。
「別に…… 
何も変わったことはねぇよ」
一義が少しふてくされて答える。
「ハハハ、またおっさんに怒られたんだろ」
元治が笑う。

元治はアミティエ総合大学医学部二年生で、この街にある
大病院のボンボンだった。
毎日高級ブランドをまとい、海外の高級車を乗り回し、
女の子にもモテモテのまさに若大将だった。
そして、一義にとっての唯一の友達だった。

「でもお前が元気でいてくれるだけオレもうれしいよ」
元治が一義に笑う。
一義は、元治にとって唯一の親友とも言える男だった。
「よ、よせやい」
一義が顔を真っ赤にした。