コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動3 ウィークエンド・シャッフル ( No.8 )
- 日時: 2014/08/08 15:50
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
一義が友達同好会に入部してから一ヶ月が経った。
毎日顔を出しているうちに
部員のみんなとも仲良くなってきた。
ただし、小百合とはまだ仲はよくなかったが。
その日も、一義は部室に顔を出した。
すると、小百合と絹恵、キャロルの
女子三人組がファッション雑誌に夢中になっていた。
「本当かわいいよね、憧れちゃう」
絹恵がキャロルに語りかける。
手にはチョコバナナが握られている。
「うん、演技も上手だし歌も上手いよね」
キャロルが答える。
「一度でいいから会ってみたいね」
小百合も続いた。
「それって誰だ?」
一義がファッション雑誌を覗き込んだ。
「あんたには関係ないことよ、あっち行って」
小百合が一義を追い返そうとする。
「そんなこと言っちゃかわいそうだよ、
一義君だって彼女に憧れているんだし」
キャロルがなだめる。
「いや、憧れてはいないんだけど……」
一義は困惑しながら、キャロルに
ファッション雑誌を見せてもらった。
そこに写っていたのは、青い瞳に白い肌、
金髪のショートヘアのモデルだった。
「チェルシー・スチュワートだ!」
一義が興奮した口調で叫んだ。
「知ってるの?」
絹恵が尋ねる。
「あぁ、かわいいんだよな
ファンなんだよ」
一義が笑顔で答えた。
「なぁ、チェルシー・スチュワートって知ってるか?」
一義は部室のソファで英字新聞を読んでいた
元治に尋ねた。
「知ってる、彼女だろ」
そう言うと、元治は新聞を広げて
彼女がイメージキャラクターをしている
化粧品の広告を指差した。
「すごくかわいいよな、会ってみたい」
一義が呟くと、元治が笑顔で答えた。
「実は今日、オレの家に泊りに来るんだよ」
「うそだろ?」
一義が驚いた。
「実は今度実家の病院のコマーシャルの撮影に
彼女を使うんだ、それで今夜
パーティをするんだけど、来るか?」
「行きたい行きたい!」
小百合が大きな声で叫んだ。
「ねぇ連れてってよ、いいでしょ?」
絹恵も一義に声をかける。
「話は聞かせてもらったぞ!」
突如部室のドアが開き、陽子が乱入してきた。
陽子は未だ、同好会といがみ合っていた。
「私も連れて行け!」
「わ、分かったよ
だから胸ぐらから手を離してくれないか?」
「おぉ、すまん
胸ぐらは掴むためにあるというのが私の心情でな」
陽子が手を離した。
その日の午後9時、羽田空港にパンアメリカン航空(アメリカに
存在した航空会社、通称パンナム)の旅客機が
空港に降り立ち、タラップからチェルシー・
スチュワートが降り立った。
カナダ・オンタリオ出身の24歳、
近くには父親兼マネージャーのダニエルも
降り立っていた。