コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動3 ウィークエンド・シャッフル ( No.9 )
- 日時: 2014/08/03 15:06
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
空港近くのホテルで記者会見を終えると、
チェルシーとダニエルは運転手つきの
キャデラック(アメリカの自動車メーカー)のリムジンに乗って
元治の自宅へと向かった。
「今回のコマーシャル撮影の後は
二日後にパリで映画の撮影、その次の日は
ニューヨークで雑誌の撮影、取材、トーク番組出演、
その次の日がベルリンで映画の部隊挨拶だ」
ダニエルがスケジュールを読み上げる。
「パパ、そんなハードスケジュールはこなせないよ
私だってたまには友達と遊びたい」
チェルシー(CV:坂本真綾さん)が嫌そうに呟く。
「なんてこと言ってるんだ、お前は死んだ母さん以上の
逸材なんだ、もっと頑張ってもらうぞ」
ダニエルが嗜める。
チェルシーの母、サンドラも有名な女優だった。
その娘として子供の頃から子役として活躍していた。
そして二年前、母が撮影中の事故で亡くなられてから
チェルシーの仕事も格段と増えたのだ。
リムジンが元治の実家の豪邸に入っていった。
地下の駐車場にリムジンが止まると、
元治がチェルシーを迎えた。
「こんばんは、お待ちしておりました」
パーティ会場はとても賑わっていた。
招待されたのは病院の重役達と、コマーシャル撮影のスタッフ、
そして元治の大学の数人のクラスメイト達だった。
「うわーっ、すごく美味いな」
一義はパーティ会場の食事にがっついていた。
分厚いローストビーフに上質な握り寿司、
キャビアの載ったクラッカーなどめったに食べられない
高級料理を一心不乱に食べる。
「ちょっとやだ、あんたも招待されてたの?」
声の主は小百合だった。
隣には絹江とキャロルもいた。
「あっ、キャロルも招待されたのか?」
「ううん、勝手に来たんだけど……
警備員の人は気づかなかったみたい」
すると、遠くの方から大きな声が聞こえる。
「ばっかやろー、もう酒が品切れだとぉ」
その聞き覚えのある声に、一義たちは青ざめた。
警備員の人に取り押さえられ、暴れていたのは
おっさんだった。
その隣にはギャバン学長もいたが、
必死に他人のフリをしながら、ワインを飲んでいた。
「随分と騒がしい客ですな」
他の参加者がおっさんを指差した。
「本当ですな、彼の職場の上司のツラを見て見たいものです」
学長が苦笑いをする。
「上司は私だよ……」
心の中でそう呟きながら。
さらにその隣でも、一人の男が警備員に取り押さえられていた。
「料理を持って帰ろうとはふてぇ奴だな」
一義たちの視線の先には、タッパーを手にした家康の姿があった。
「おまけに招待状も持っていないとは」
警備員が呆れていると、家康が一義たちの姿に気づいた。
「おい、お前らオレにも招待状来てたよな?」
家康が一義たちに叫んだ。
「どちら様でしょうか?」とは一義。
「あっ、初めまして」とは小百合。
「誰か知りませんがうるさいですね」と絹恵。
どうやら警備員には見えていないキャロル。
みんな、家康とは関わりたくなかったのだ。
すると、そこに元治が駆け寄ってきた。
「この男は招待状を持っていなかった挙句
料理を持ち帰ろうとしていました」
警備員が報告すると、家康が元治に叫んだ。
「お前招待状出したよな?」
すると元治は、
「こんなどこの馬の骨かも分からない奴は知らん、
さっさと追い出せ」
と言い放った。
「ふざけんな、友達同好会の一員だよなオレ達?」
そう叫びながら、家康は警備員に羽交い絞めにされ
会場を追い出された。