コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

活動3 ウィークエンド・シャッフル ( No.10 )
日時: 2014/08/03 19:46
名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)

一義たちが食事にがっついていると、
パーティの司会を務める元治が
ステージに立ちアナウンスをした。
「それでは本日の主役、チェルシー・スチュワートさんの
登場です!」
場内が拍手に包まれ、白いドレスに身を包んだ
チェルシーが現れた。
「うわっ、やっぱりかわいいな」
一義が呟いた。
「肌綺麗だねー」
絹恵が小百合に話しかけた。
「スラッとしていて美しいスタイルだな、
いつか私も……」
陽子も見とれていた。

ステージで挨拶を終えた後、チェルシーは
ステージを降りてパーティに参加した。
「あっ、あの……」
シャンパンを飲んでいたチェルシーに
一義が歩み寄った。
「オレ、あなたのファンなんです
サインお願いします」
一義がスーツのポケットから赤点のテストを取り出した。
すると、後ろから思いっきり殴られた。
「てめー、それ昨日のテストじゃねーか
もっと勉強しなきゃダメだぞ」
声の主はおっさんだった。
「てかテストをサイン用紙にしようとかふざけてるよね、
ちゃんとした色紙持ってきなさいよ」
一義に怒りながら、小百合はレシートを取り出した。
「これの裏側にサインお願いします、チェルシーさん」
「いや、それも失礼だから」
一義がツッコむ。
「あの、いつもファッション雑誌で拝見させていただいております
やはり妖精のように美しいですね」
絹恵がキャロル、陽子と一緒にやってきた。
たちまち、チェルシーの周りが
同好会のメンバーで騒がしくなった。

「あはは、皆さんお友達ですか?
うらやましいなぁ」
少し寂しげにチェルシーが笑った。
「私はいつも学校にも行けないし、友達もいないから
凄くうらやましいです」
「そ、それじゃこの日本にいる間でも
私達と友達になりましょうよ」
絹恵がチェルシーに提案した。
「本当ですか、じゃあ今日からよろしくね」
チェルシーが小百合に抱きついた。
「よろしく」
小百合も笑顔を見せた。

その日の夜、招待客とチェルシーたちは
元治の計らいで元治の自宅に泊めてもらった。
客室のうちの一つでチェルシーはいつまでも
眠れずにいた。
「友達だもん、ちょっとくらいならいいよね」

「なんでオレがお前なんかと寝なきゃいけないんだよ!」
「そりゃこっちのセリフだ、仕方ねぇだろ
オレの部屋チェルシーさんに貸してるんだから」
小さなシングルベッドで一義と元治が争っていた。
元治はベッドをチェルシーに貸していたのだ。
「どこ触ってんだ、こんな薔薇もの(BLという意味、
1969年当時はそう呼ばれていた)
読者は喜ばねぇだろ!」
一義が叫んだ。

翌朝、元治の寝室に執事が入ってきた。
「大変でございます、坊ちゃま」
執事が布団をめくると、一義と元治が
抱き合って眠っていた。
「うわっ、離せ」
目を覚ました一義が元治から腕をよける。
「なんでオレと抱き合ってんだよ、
やっぱりそういう趣味か?」
元治も慌てる。
「で、大変ってどういう意味だ?」
元治が執事に尋ねる。
「チェルシー様が……」

一義たちがチェルシーの部屋を開けると、
そこには誰もいなかった。
しかし、ベッドの上にはこんな書き置きが残されていた。
「チェルシー・スチュワートは誘拐した」と。