コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動4 ギャンブル狂時代 ( No.16 )
- 日時: 2014/08/10 00:39
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
おっさんたちが乗るベレットが
雀荘の前に停まる。
「今日こそは勝ちたいな」
旭が助手席から降りた。
雀荘ではおっさんのギャンブル仲間達が
旭たちを出迎えた。
「今日こそは勝つんだとよ、こいつ」
おっさんが旭を指差す。
「あぁ、今日はいけそうな気がするんだ」
旭が麻雀卓に座った。
おっさんたちが金を出し合う。
「今日は5万はいってやる」
おっさんが5万円を叩きつけた。
ちなみに、金を賭けてギャンブルはもちろん違法なので、
真似しないように。
牌が並べられ、対局が始まろうとしていたとき、
旭の体が身震いをしていた。
「どうしたんだ?
怖気づいちまったのか?」
おっさんが旭に話しかけようとすると
旭は小声で呟いた。
「て、天和だ……」
なんと旭は、一生に一度出るか出ないかという
天和(牌が配られた時点で役が完成していること)を
出してしまったのだ。
旭の一人勝ちだ。
「本当かよ、そりゃすげぇや」
おっさんが興奮して旭に話しかける。
雀荘にいた全員が旭に注目しだした。
「それだけじゃねぇよ……」
旭はもう泣きそうな顔だった。
「どれ、見せてみろ」
おっさんが旭の役を覗き込んだ。
「うわっ!」
おっさんが驚嘆の声を上げる。
その役は九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう)と呼ばれる
これまた一生に一度出るか出ないかという
究極の役だ。
雀荘が大きな拍手に包まれる。
「こんなのオレ初めてみたよ、感動した!」
おっさん達は次々に祝いの言葉をかける。
「お、オレはもうおしまいだ……」
旭の顔は青くなっていた。
額からは汗が止まらない。
翌日、いつものように一義は同好会の部室へと
入った。
「あれっ、どちら様で?」
部室のソファでは、旭がコーラを飲みながら
震えていた。
「やぁ、今日は君の顧問に用があるんだよ」
「今日から新入部員になるんですか?」
部室に入ってきた小百合が旭に尋ねた。
すると、部室に入ってきたおっさんが
驚いた顔で旭を見た。
「お前、仕事は?」
「休んできた」
「じゃあなんでここにいるんだ?」
おっさんが問いかけると、旭は
いきなりおっさんに抱きついた。
「オレを殺さないでくれぇ!」
旭は一義たちに昨日のことを話した。
実はあの九蓮宝燈をあがった者は
死ぬという噂があったのだ。
「ほらね、ギャンブルはやっぱり不健全じゃん
これに懲りて、死んじゃえばいいのに」
小百合が旭に言い放つ。
「だから不健全ってのは家康みたいな……」
おっさんが反論する。
「もうこのくだりいらねぇだろ!」
家康が大声を上げる。
「頼むよ、みんなでオレの事を守ってくれ」
今にも泣きそうな声で旭が懇願する。
「こんなことで死ぬなんて考えすぎですよ、
きっと大丈夫……」
元治がそう言って手を伸ばした途端、
旭の顔の横を串が飛んできた。
「ごめーん、ゴミ箱に入るかなと思ってさ」
投げたのは絹恵だった。
手にはおでんが握られており、どうやらその串を
捨てようと思ったらしい。
「もー、気をつけてね絹恵ちゃん」
キャロルが注意すると、一義たちは笑った。
だが、旭は恐怖で倒れこんでしまった。
「オレは命を狙われているに違いねぇ……」
もはや何かに取り憑かれているようだった。