コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動5 深海より愛をこめて ( No.22 )
- 日時: 2014/08/17 18:58
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
「てめぇ、待ちやがれ!」
一義が小百合を追いかける。
すると目の前に、小学生くらいの三人の男の子達が
何かを囲んでいた。
「ちょっとあんたたち、助けてよ」
小百合が男の子に助けを求める。
「うわっ、なんだあいつ
手にわかめ持ってるぞ」
「あのヌルヌルが癖になってんじゃねぇの、
気持ち悪ぃ!」
男の子達が逃げ出した。
「きゃあ」
小百合が砂浜に倒れる。
「おりゃあ、ワカメ酒の刑だ!」
一義が小百合に駆け寄ると、海のほうから
声がした。
「あの、ありがとうございます」
一義と小百合が振り返ると、岩の上に
一人の人魚がたたずんでいた。
「私のペットのアイスキュロスを助けてくれたでしょ?」
「な、何のことかしら?」
すると、小百合の横に一匹の海亀が現れた。
どうやらさっき小学生たちはこの亀を
いじめていたようだ。
「おーい、どこまで行ってんだよ小百合ちゃん」
元治たちが駆け寄ってきた。
「うわっ、人魚だ!」
キャロルが感嘆の声をあげる。
「すごーい、築地だったらいくらするかな?」
絹恵も目を輝かせる。
「あら、あなたたちはこのお方のお友達?」
人魚が元治に尋ねる。
「はい、そうです」
キャロルが答える。
「一緒に龍宮城へ行きませんか?」
人魚が微笑んだ。
「あっ、紹介が遅れました
私の名はアリエン、この海の底で生まれました」
アリエン(CV:新谷良子さん)と名乗る彼女は、
おっとりした口調にショートカットの赤毛、
白い肌に青い瞳、虹色のうろこを持つ下半身の
かわいらしい人魚だった。
アリエンが指を鳴らすと、海底から大きな
原子力潜水艦が姿を現した。
「えっ、これで行くの?」
一義が疑問の声を上げる。
「はい、以前はアイスキュロスの甲羅に乗ってたんですけど
動物愛護の観点でうるさいので」
「そ、そうですか……」
潜水艦の中は快適そのものだった。
室内はまるで旅客機のごとく快適だった。
「こんな乗り心地がいい乗り物なんて
初めてだぜ」
元治がご機嫌そうに一義に語りかけた。
一義がふと窓を覗くと、アリエンが
アイスキュロスと供に泳いでいた。
「間違いない、彼女はオレと会ったことがある……」
一義はアリエンの顔を覗き込んで呟いた。
さっきまでとは違い、一義の顔は
少し罪悪感に苛まれた表情だった。
潜水艦がキャバレーみたいなネオンで飾られた
龍宮城に入っていった。
城内の上陸スポットから潜水艦が顔を出し、
ハッチが開いて一義たちが降り立つ。
「うわっ、すごい……」
小百合が思わず呟いた。
龍宮城内はすこぶる豪華で、中世の城のようだった。
「絵にもかけない美しさってやつだな」
元治が城を見渡す。
みんな、城の美しさに見とれていた。