コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動5 深海より愛をこめて ( No.24 )
- 日時: 2014/08/18 17:00
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
「ちょっとあんた、生臭いなんて
かわいそうじゃない?」
小百合が一義を蔑んだ目で睨む。
「わ、悪かったよ……」
一義がアリエンに小声で謝る。
「実は私、溺れていたあなたを助けたんです」
アリエンが一義に告白する。
「そのとき私はあなたに一目ぼれしてしまい、
あなたと結ばれたいと思ったんです
だから魔女と契約して声を失う代わりに
一週間だけ人間の体を手に入れたんです」
「あれっ、今は声を出すことができるのか?」
元治がアリエンに尋ねる。
「はい、このブレスレットを巻いていると
声を出すことができるんです」
「なぜあのときブレスレットをしてなかったの?」
キャロルが尋ねる。
「高くて買えなかったんです、
これ一本八千円するんで」
「そこまでしてあいつに惚れたってこと?」
小百合がアリエンに尋ねる。
アリエンは答えた。
「惚れていたということです」
「あれで私のプライドはめちゃくちゃにされました
だから一義さん、今度は私があなたに
復讐を遂げます」
怒りに震えた声でアリエンが一義に言い放つ。
「待ってくれよ、もう生臭いなんて言わないよ
寿司のわさびも我慢する、だから許してくれ」
一義が必死に頭を下げる。
アリエンがナイフを突き出したが、一義を切りつけようとした途端
アリエンはナイフを床に落とした。
「うぅ……」
アリエンが涙を流す。
「やはりあなたを殺すことはできません、
あなたを愛してしまったから……」
すると、アリエンは突如走り出した。
「おい、待てよ」
一義たちがアリエンを追いかける。
アリエンは深いプールの前に立っていた。
その水槽の中には大きな鮫が泳いでいた。
「おい、まさか……」
アリエンは飛び込むつもりだった。
「だめだ、死ぬことはないだろ」
一義たちが必死にアリエンを羽交い絞めにする。
「いや、離して!」
アリエンは一義たちを突き放し、水槽に落ちた。
「うわっ、助けて!」
アリエンの隣にいた絹恵も水槽に落ちてしまった。
すると大きな口を開けた鮫が二人を飲み込むと、
プールの底に消えていった。
一義は崩れ落ちると、泣きじゃくった。
「全てオレのせいだ、二人はオレのせいで死んだんだ」
「あんたのせいよ、どう責任取るつもり?」
小百合が一義に問い詰める。
「本当にすまない、どうしよう」
「何をどうするって?」
一義の耳に、どこか聞き覚えのある声が届いた。
見ると、その声の主は絹恵だった。
「絹恵ちゃん!」
小百合が絹恵に抱きついた。
「足はあるよね?」
キャロルが尋ねた。
どうやら足はあるようだ。
「あれっ、アリエンさんも!」
元治がプールを見て驚いた。
プールには、アリエンの姿もあったからだ。