コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動5 深海より愛をこめて ( No.25 )
- 日時: 2014/08/19 01:44
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
一義たちがアリエンの元に駆け寄ると、
アリエンの横に大きな骨が浮いてきた。
「こ、これは……」
一義が骨に驚いた。
実はアリエンと絹恵は飲み込まれたあと、
絹恵が鮫の体を食い尽くしてしまうことで
鮫から逃れることができたようだ。
あの大きな骨は鮫のものだった。
「た、助かってくれてよかった……」
一義が安堵からへたり込んだ。
「あれっ、元の姿に戻ってるな」
元治がアリエンの姿を見て気づいた。
どうやら魔法が解けたようだ。
そして、一義たちが帰る時が来た。
潜水艦で陸に上がったあと、一義は
アリエンから二つの箱をもらった。
「開けるも開けないも自由ですよ」
アリエンが微笑んだ。
「ありがとう、楽しかったよ」
一義がアリエンに手を振る。
「もう二度と会うことはないでしょう、
でもこれで私のことを忘れないでくださいね」
そう言って、アリエンは海の中へ消えていった。
「おいてめーら、三日間も何してたんだ?」
一義たちの後ろから怨念のこもった声が聞こえた。
声の主は家康だった。
「これはオレをほったらかした罰だ、よこせ!」
家康が箱の一つを奪い取った。
「金銀財宝が眠ってるに違いねぇ」
家康が箱を開けた途端、家康は煙に包まれた。
その直後、年老いた家康の姿が現れた。
「これは開けてはならないものだったんだ」
元治が家康を見て呟いた。
結局、もう一つの箱は海の底に捨てられた。
数日後、一義たちは部室にいた。
部室の隅では、年老いた家康が少女漫画を読んでいた。
「気持ち悪さは老いても衰えないとは本当だったんだな」
元治が家康を見て呟いた。
「あっ、あれ見てよ!」
ニュース番組を見ていた小百合が叫んだ。
そこには、真珠のネックレスや金塊などの
大量の財宝を抱えた陽子がインタビューを受けていた。
「一攫千金を狙って海の底を探していたら
これを見つけたんだよ」
笑顔で陽子がインタビュアーに答える。
「あぁっ、持って帰っていればよかったんだ……」
キャロルが残念そうに呟く。
「そうだ、面白いものを見つけたんだ」
陽子が箱の奥から何かを取り出して、カメラに見せつけた。
それは、一義とアリエンの顔写真が入った絵皿だった。
「あれって、結婚式でもらうやつじゃん」
元治が少し引いている。
「もらって困るものランキング上位の常連だよね……」
小百合もドン引きしている。
「もらって困るといえば
・肩たたき券
・熊の剥製
・自作のラブソング
いろいろあるけど、これは特にいらないよね」
キャロルが少し青ざめている。
これを見た一義はまた一つ教訓を得たようだ。
「玉手箱、必ず開けるべからず」と。