コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 活動6 ロゼ・マドモアゼル ( No.27 )
- 日時: 2014/08/20 01:05
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
翌日、同好会の部室で一義は
おっさんに詰め寄っていた。
「おいおっさん、千円返せよ」
「何のことだ?」
おっさんがとぼける。
「昨日のあの一円玉、ただの一円玉だったぞ」
「おっ、気づいたか
お前にしては早く気づいたな」
おっさんが感心する。
「聞いたよ、あんたあんなの千円で買うとかどうかしてるよね」
小百合が一義を茶化す。
「そこまでのバカは珍しいよ、
完全試合級のバカだね」
元治もうっすら笑っている。
「てめぇら、もう許さねぇぞ」
一義が小百合たちに向かって歩いていると、
部室のドアが開いた。
「まったく、またあのなんちゃってヒーローね」
絹恵が呆れている。
しかし、ドアを開けたのは陽子ではなく
学長だった。
「君達、もっと静かにやれんのか?」
「これはこれは、宇宙刑事どの」
おっさんがとぼける。
「そのネタは世代的に読者分からないからな」
ギャバン学長が指摘を入れる。
学長は車椅子を押していた。
その車椅子に乗っていたのは昨日のビスク・ドールだった。
「紹介しよう、私の妻のカミーユだ」
カミーユと名づけたビスク・ドールを
まるで人間のように扱っている。
「それでは失礼するよ」
学長はカミーユの車椅子を押して
部室を出て行った。
「なぁ、あの人形ってアレか
空気を入れて膨らまして、いくつか穴がある……」
「あー、それダメダメ
成人男性のお人形遊びの奴とは違うから」
一義がおっさんの口をふさぐ。
「あれはそういうイヤラシイ人形じゃなくて
ビスク・ドールというアンティーク人形さ」
元治が顔を赤らめてフォローする。
「でもあの人形、まるで生きているみたいだったね」
小百合がキャロルに語りかける。
「人形には魂が宿るってよく言われているよ、
もしかしてあの人形にも宿ってるのかも」
キャロルが笑う。
「なんだか気持ち悪かったよなぁあのオヤジ、
人形なんかに恋しやがって」
家康が高笑いをする。
「あんただって二次元がどうこう言ってるじゃん、
紙なんかに恋してるじゃん」
絹恵が冷ややかそうに反論する。
「バカ、二次元というのはお前ら三次元と違って
優しくて温もりがあって……」
家康が必死に語るも、絹恵たちは彼から離れていった。
「かわいそうに、いかれてるんだね」
絹恵が哀れんでいた。
「あの人形はかわいいけどさ、奥さんみたいに扱うのは
どうかと思うな、オレ」
一義が元治に語りかける。
「イマジナリーフレンド作ってたお前が言うか、
随分偉くなったもんだな」
元治の言葉に、一義は悲しげな表情をする。
「そうか、オレも一緒だったのか……」
「まさか学長様はあの人形の下僕にされちまってるんじゃないか?」
おっさんがビールを飲みながら笑う。
「ホラ、そういう話あっただろ
ああいう人形と契約させられて人形達の戦いに巻き込まれるみたいな」
「あぁ、かわいい絵柄だったよなあれ」
元治も同調する。
「たしかこの作者も好きだったよな、
男なのにああいうの大好きだもんな」
元治が笑った。
「アレに影響されて紅茶とか飲んでたよな
ダサい奴だよなぁ」
おっさんも笑う。
「とにかく、あの人形には何かがあるんだ
語りきれないほどの魅力がな」
おっさんが言い放った。