コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

活動6 ロゼ・マドモアゼル ( No.29 )
日時: 2014/08/21 18:24
名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

元治が本を開く。
「この本は様々な人形の歴史について
書かれているんだ、
ビスク・ドールや日本人形、
キューピーちゃんからバービードール、
果てはお前の好きなダッチ……」
「ダッチ・サべージ(当時人気だったプロレスラー)の
ことかなぁ?」
一義が顔を赤らめる。
「お前はカール・ゴッチ(ベルギー出身のプロレスラー)の
ほうが好きだって言ってたよな?」
元治が笑う。
「バカ、ディック・ザ・ブルーザー(プロレスラー)の
ニードロップこそが最高だろ」
元治と一義がプロレスの話題で盛り上がるなか、
陽子と小百合は本のページをめくる。

「この人じゃない?」
小百合がページを指差した。
そこには、カミーユ・フィリップスという
あの人形そっくりの女性の肖像画があった。
「本当だ、あの人形は自分がモデルだったのか……」
一義が説明を読む。
「彼女は生前、マルセルという貴族の男性に
恋をしていたが、身分違いがゆえにその恋は
叶わず、彼女は失意のうちに病死した、とさ」
一義が次のページをめくると、
そこには学長そっくりな貴族の肖像画があった。
「学長そっくりだ!」
陽子が大声を上げる。
「この男がマルセルらしいな、
きっとマルセルそっくりな学長に出会って
その魂がビスク・ドールに宿ったんだ」
一義が語った。

一方その頃、部室では家康が何かよからぬことを
たくらむ表情をしていた。
「あの人形随分かわいいじゃねぇか、
アレを持って帰ってオレのものにしてやろうかな」
「なにをニヤニヤしてるの、気持ち悪い」
絹恵が家康を蔑んだ目で睨む。
「てめぇにゃ関係ねぇんだよ、泥人形が!」
家康が部室を出て行った。
「何か怪しいんだよね、あの感じ」
絹恵がキャロルに話しかける。
「いつものことじゃない、どうせ最後は
痛い目にあうんだから放っとこうよ」
キャロルが答えた。
「そうだよね、どうせオチ要員だし」

翌日、学長はカミーユの車椅子を押して
廊下を歩いていた。
「ねぇ、喉が渇いたわ」
カミーユが学長に問いかける。
「そうかね、ここで待っていろ
フルーツ牛乳でいいよね」
学長がカミーユを置いて
購買に入る。
その隙を突いて、家康が車椅子から
カミーユをおぶった。
「いやぁ、助けて!」
カミーユは叫んだが、学長には聞こえていなかった。
かたや声は他の生徒にも聞こえていない。

購買から出てきた学長は誰もいない車椅子を見て
驚いた。
「カミーユ!」
「あれっ、どうしたんです?」
購買に訪れていた一義たち
同好会のメンバーが学長に尋ねる。
「カミーユがいない、連れ去られたんだ
あぁ、私がついていなかったばかりに……」
学長がうなだれる。
「そういえば今日、家康がいないな」
一義が呟く。
「あいつだ、あいつに違いない!」
おっさんが同意する。
「厄介ごとはあいつの専売特許だしね」
とは絹恵。

一同は大急ぎで、家康の家へ向かった。