コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

活動7 絶望のチョコレート工場 ( No.31 )
日時: 2014/08/23 02:10
名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)

その日も一義は、大学の学食で
元治と昼食を嗜んでいた。
一義はいつものようにナルトとチャーシュー、
メンマとほうれん草のトッピングされた
安いラーメンを食べていて、
その横で元治はお抱えの三ツ星シェフが作ってくれた
ローストビーフのサンドイッチを頬張る。
オニオンと卵も入っている分厚いサンドイッチを
食べ終えると、元治はバスケットから
ゼリービーンズの袋を取り出した。
「おい、お前そんなの食うのか?」
一義が元治に尋ねる。
「あぁ、初めて食べるよ」
元治が驚くのも無理はなかった。

元治のデザートといえばいつも
ザッハトルテ(オーストリアのチョコレートケーキ)や
マカロン(1969年当時は珍しかった)などの
高級なお菓子だった。
しかし、今日彼が持っているそのゼリービーンズは
ペンスキー製菓という最近日本に輸入された
お菓子メーカーのもので、一袋50円ほどの
安いお菓子だった。

「なんだよお前、病院の経営がうまくいってないのか?」
一義が心配げに元治に尋ねる。
「いいや、全く」
元治が受け流した。

放課後、一義が同好会の部活に顔を出すと
キャロルが板チョコを頬張りながら
一義を出迎えた。
「それって、ペンスキーのチョコだよな?」
「うん、安くて美味しいよね」
キャロルが笑顔を見せる。
「一義君、こんにちは」
ふと机を見ると、机の上にはペンスキー製菓の
マシュマロやチョコレート、クッキーやガムが
山積みになっており、絹恵が一心不乱に食べている。
「これ、全部一人で食べてるのか?」
「うん、これまでにマシュマロ10袋
チョコレート30枚
クッキー30袋は食べてる」
絹恵は苦しそうなそぶりも見せずに
お菓子をむさぼっていた。

奥のほうでは、家康がクッキーの袋を開けては
中身も食べずに床に捨てている。
すると、部室におっさんが入ってきた。
手にはペンスキー製菓のポップコーンの
袋が握られていた。
「おっさんまでペンスキーのお菓子が……」

「今日こそお前らの悪事、最終回にしてやる!」
陽子が部室に乱入する。
そしてその手にはペンスキー製菓の
グミの袋があった。
「うわぁ!」
一義が腰を抜かす。
「なんなんだよ今日はみんな
ペンスキーのお菓子なんか食べやがって、
プロパガンダで洗脳でもされたか?」
一義の顔が青ざめる。

すると、部室に小百合が入ってきた。
「みんな、やったよ!」
小百合が一枚の紙切れを持って
部室に入ってきた。
「それがどうしたんだ?」
一義が小百合に尋ねる。
「バーカ、これはすごいんだからね
知らないの?」
そう言うと、小百合がその紙切れを
一義に突き出した。
「ペンスキー製菓の工場へようこそ」
紙切れにはそう書かれていた。