コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!![参照200突破] ( No.55 )
- 日時: 2014/08/25 15:55
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
第七話 兄が妹を愛している訳と兄の秘密
「いやだなぁ〜。慧さんったら自分が愛した女性の産んだ子供を忘れたんですかぁ?」
悪笑を浮かべながら言う。
そうこいつは俺の最愛の人が産んだ子供。
だが、俺の子供ではなかった。
「忘れるものか。あれほど、愛した人の…」
「そうですね。あなたが母さんを愛さなければあんな姿にはならなかったでしょうね」
今、俺の最愛の人は病院にいる。
元々、彼女は体が弱かった。
すでに子供を一人、産んでいた身はもう一人、産む余地などなかった。
しかし、俺のせいで…
「今日は何しに来たのだ」
追いつめられてきたので話を変えることにした。
「ああ。17年ぶりに”異父兄妹である梓”の姿を見ようと、してね」
わざと真ん中のところを強調する。
「お前ッ!!それを口にするなッ!」
奴の襟をつかみながら叫ぶ。
「だって本当のことでしょう。慧さん、まさかまだ…?」
「そのまさかだ。まだあのことは梓には強すぎる」
「何が強すぎるですか。そろそろ教えてあげないと大変なことになりますよ。いつまでファザコンごっこしてんですか」
その言葉にうっとつまる。
そんなことを言われては何も言い返せなくなってしまう。
「お兄ちゃん?」
どうやら俺が叫んでいるのを聞いて一階まで降りてきたらしい。
「どういうことなの…、ねぇ。その人、誰…?」
幽霊を見たような顔をしている。
ああ。そろそろ打ち明けなければいけない時が来たか。
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!![参照300突破] ( No.56 )
- 日時: 2014/08/26 12:20
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
「どうも、こんにちは、梓。僕は君達兄妹の異父兄弟の宇田川薫です。
よろしく」
「え、じゃあ、私のお母さんから生まれたの?違うお父さんだけど兄弟?」
「そういうことだね」
へらへらと答える薫。
「じゃあ、私のお父さんはお兄ちゃん?」
俺に衝撃的な質問をしてくる。
たぶん、俺と薫の話を最初から聞いていたかもしれない。
「あ…そう…」
もうあきらめて本当のことを言うしかないと心に決めた時。
俺の言葉をさえぎって答えたのは薫だった。
「ちがうよ。慧さんはあくまでもお兄さん。僕の兄さんでもあり君のお兄さん」
その口から出たのは意外なことだった。
俺をかばってくれるなんて思いもよらなかった。
「じゃあ、さっき話してたのは?」
きょとんとしているがまだ本当に信じていないらしい。
「ああ。慧さんが僕の父親が大好きで毎年誕生日にプレゼントを贈っているからまだファザコンごっこしているのって聞いていたんだ」
よくもまぁ、そんな嘘が口からぺらぺらと出てくるなと関心する。
「そうなんだ」
これのおかげで梓は本当に信じたらしくごゆっくりどうぞと言って部屋に戻っていった。
梓がちゃんと部屋に戻る音を聞いた後。
「なぜあんな嘘をつく?」
俺は最大の疑問を口にする。
そういうと薫は、悪笑を浮かべ
「いつまで梓に隠せていられるか、楽しみだからかな」
そういうともういい?って帰る支度を始めた。
「待てよ。お前の母さんは?」
そういうと悲しげな眼でこちらを見てきた。
「そうか。まだ植物状態か…」
「僕、いくね。今度は梓の誕生日にくる…じゃ」
といって薫は俺の目の前から去って行った。
いつまでか…。
もうそろそろ話した方がいいのだろうか?
俺が梓の—だってことも。
彼の母親、神楽坂 凜と俺、梓、薫。
なんて複雑なんだ。
凜が最後の言葉として梓に言ったことは守らないとなー