コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!![参照300突破] ( No.58 )
- 日時: 2014/09/10 22:52
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
過去編Ⅰ [神楽坂凜の正体]
ここで一つ、俺から過去の話をしたいと思う。
神楽坂凜についてである。
俺と彼女が出会ったのはちょうど17年前の夏のことであった。
そのころ、俺は地元の高校2年で彼女は今、俺の妹が通っている宮都学園の大学2年生であった。
えっ、年齢が合わないと思うであろう。
実は俺、藤間慧は34歳なのである。そのことはのちのちわかってくるであろう。
*
ミーンミンミン……。
蝉の大合唱中の真夏の最中、俺は自殺現場を目撃しようとしていた。
「ちょっと、君っ!」
その人は赤信号でゆっくりと歩いており、何も考えていないようだった。
思わず、俺は彼女の手をつかみ、横断歩道の前に連れて行く。
彼女の顔を見てそういうことをしようとしていたのがわかる。
彼女の顔は全面青あざだらけで体のほうもいくつか傷がある。
俺はその姿を見ただけでこっちまで体が痛くなってしまう気分にさせられた。
「あの……、大丈夫ですか」
彼女は何も言わず、ただ静かに涙を流すだけであった。
「……ご…めんなさい…」
彼女は乾いた唇をゆっくり動かしながら言った。
まるでそういうために口があるように。
「……なんであんなことしたんですか」
「……ごめんなさい、ごめんなさい」
ほかのことを聞いてもただ謝るだけで涙を流すばかり。
少々困った俺はとりあえず彼女を近くの公園へと連れて行った。
「あの……」
とまどうだけで何もできない自分が許せなかった。
元から困っている人をほっとけない自分はついつい手助けしてしまう。
今回も似たパターンであろうが、しかし、その困っている人を逆に困らせてしまったようだ。
「私……、もう無理です。これ以上、耐えられません」
やっと謝ることをやめた彼女はついに俺にすべてを話してくれた。
彼女の話によると、彼女はあの有名な超能力者などを研究するグループのリーダーの娘、神楽坂凜。
神楽坂家に生まれたならば、女は超能力者との子を産む。
男は、研究の跡継ぎになるのが掟らしい。
しかし、超能力者は普通の人間とやっぱり少し気質や性格も変わっており
人間に対して暴力を振ったりするのだという。
凜の婚約者(超能力者)も暴力を振ったりしてくるのだろう。
その証拠に体のあちこちにあざやきずがある。
その暴力が今日までつづいたそう。
耐えられなくなった凜は、父親に相談するが理解してもらえず、
凜は神楽坂家にいたらこのまま、暴力されるだけと理解し、神楽坂家を出た。
しかし、どれだけ神楽坂家から離れても、神楽坂家の者は凜を追いかけてくる。
「私は逃げられないんです。一生、神楽坂家に縛り付けられるんです……」
それがもう嫌だったので神楽坂家から逃げられる方法は”死”かないとおもって—