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Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!![参照300突破] ( No.59 )
日時: 2014/09/20 12:53
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)


彼女と俺は似ていたのかもしれない。
また彼女は箱入り娘でもあった。

彼女は基本的に外に出れない。
外に出れるのは、学校に行くときのみ。
登下校はいつも使いの者に送ってもらっているらしい。
だから彼女は一人になる機会がないといってもいいくらいだ。

ではなぜ、彼女は自由ではないのか。

それは、彼女が家のしきたりや研究内容を話してはならないから。
彼女は、いつも誰かに監視されている。

「私は……もう駄目なんです」


「凜さん……」

俺はこの時には彼女の虜になっていたのかもしれない。
だから弱気な彼女を守ってやりたいと思った。

「駄目です。凜さんはまだ死んではなりません」


「じゃあ、どうか私に自由というものを教えてくださいますか」

彼女は自殺を止めた俺にそういった。
自由というものを……。

その言葉をきっかけに俺と凜の恋人生活が始まった。

「凜さん!!」
大きく手を振りながら彼女との待ち合わせ場所に行く

「慧。待ってましたよ」
彼女はよく笑うようになっていった。

彼女とのデートはいつもきまってお昼。
デートというよりも一緒にご飯を食べるというものだった。

俺が隠し道を学園内に作り、そこを通っていつも学園に侵入。
不法侵入ということになってしまっているが、見つからないければ大丈夫でしょうという彼女は言う。
それもそうかなと思い、俺は罪を犯している。

俺たちは互いを愛していた。
会うたびに募る想い。

「凜さん、最近、子供さん、どうですか」

凜には子供が一人、いた。
未婚であるが、それは24歳になってから結婚するというのも家のしきたりなそうで。

「ああ。薫はとても元気です。最近は漢字を覚えはじめましてね……」

薫。そう、宇田川薫。
彼は凜とその婚約者の間の子供であった。
超能力者との子供故、記憶力とかそういうものがとてつもなくスバ抜けている。
薫も実験、研究されている。
そのことも彼女の不満であった。

「そうですか。やっぱりすごいですね」

そんなことないですよとかいいながらも笑顔である。
自分の子供を褒められてうれしいのだ。

そしていつもこの時間がやってくる
食事の終わりを告げるチャイムがなった。
俺はいつものように凜との別れを惜しみながら隠し道を通って自分の学校に戻る。
それが日課である。
でも今日は——

「今日、父たちがいないんです。よかったら私の家に遊びに来ませんか」

この言葉があの悲劇を呼ぶとは俺も凜も考えてもみなかった。

「えっ、いいんですか!?」

俺は心から嬉しがった。
今まで食事だけという恋人らしくないものがやっと相手の家にお邪魔するという恋人みたいなことができるからであった。

凜はその反応に苦笑しながらもはいと言った。