コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!! ( No.6 )
- 日時: 2014/07/31 11:15
- 名前: 音宮 (ID: IvdLyRwl)
第一話 梓の一日 梓side
私の朝は早い。だけど私は起きない。
なぜ?それはね…簡単に言うと兄のためなんだ。
どういうことかって。
兄は私の世話をすることに誇りを持っているし、それを生きがいにしている。
だから私の世話をしないと兄はおかしくなってしまうの。
私はそのために起きない。
これから約30分後に起こしに来る兄のために。
話が変わるが、私の家はものすごいお金持ちらしい。
だってみんなが憧れる大きくて
豪華なシャンデリアに
お姫様ベットでしょ、
テラス風の大きな窓が何個か。
なんといってもこの部屋ひとつの大きさ。
たぶんみんなの家の4分の1はあると思う。
でも現在この家に住んでいるのは私と兄の二人だけであった。
なぜなら両親は海外の仕事であるため不在である。
そんな両親が今どこで何をしているか、
何の仕事かはっきり言って分からない。
兄にも何時だか聞いてみたことがあったが
兄も知らないそうだ。
つまりあまり交流をとらないのであった。
トントン。あ、兄が起こしに来たようだ。
さて、私は寝たふりを。
「梓。起きて、梓。ほら今日はいい天気だぞ」
カーテンを開けて部屋に温かな日差しを入れる。
うわぁ、まぶしい。反射的にまぶたをあけてしまう。
「おはよう、梓」
目を開けたら完璧な顔がそこにはあった。
それにびっくりしてしまう。
「お兄ちゃん、もうっ。びっくりするでしょ!?」
「ごめん、梓。でもこうしないと梓の顔がよく見えないから」
クスッと笑って私の頬に唇を落とす。
そうこの男こそ私の兄、藤間 慧であった。
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!! ( No.7 )
- 日時: 2014/08/21 13:05
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
「梓、早くこれに着替えてほらっ」
制服をクローゼットの中から出してくる。
私は現在お嬢様学校とも呼ばれている私立宮都学園に通う高2。
そして兄がそこの教師をしている。
ちなみに私の担任でもある。
「お兄ちゃん!そんなのいいからっ!早く着替えてほしいんだったらこの部屋から出てよ!」
なぜか兄はこれから着替えようとする妹の前にまだいるのだった。
「だってそうしないと梓が一人になってしまって寂しいかなって…思ってさ…」
言い訳に聞こえる。ただあなたは妹の下着姿をみたいだけじゃないかな。
「いいのっ!一人になって。それよりもお兄ちゃん、早く着替えたいから部屋を出てって。ほら早く」
兄の背中を押しながら部屋から出るように促す。
「でも…」それでもここに残ろうとする兄をこの部屋から出すことに成功した。
「ったく。何、考えてんだか」
早く着替えないと兄が心配してこの部屋にまた入って来てしまう。
制服に無事着替えると部屋の外でおろおろしている兄を落ち着かせる。
「はい、大丈夫だったでしょ!?」
ドアをあけ、兄に自信ありげにそういってみる。
「心配したよう、梓」
そういって私に見せた顔はホントに心配していたみたいな顔であった。
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!! ( No.8 )
- 日時: 2014/08/21 13:07
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
「お兄ちゃん!降ろしてぇー、ねー、お兄ちゃんー」
階段を無表情で降りていく兄にそう訴える。
そう、私は今、兄にお姫様抱っこをされているのだった。
「だめだぞ。このほうが梓ちゃんの生活に似合うから」
どういう意味だよ!いらないからこんな生活。
「大丈夫だから、一人で降りられるから。だから、ね?」
ここで家の構造について説明しよう。
家は三階建てでレンガづくり。外から見たらお城みたいな家である。
三階は私の部屋と兄の部屋と着替える部屋。
二階は両親の寝室とバスルームと物置部屋。
この物置部屋は私たちの弟か妹がいたら使う部屋だったらしい。
一階はキッチンとダイニングとリビング。
仕切りがないので解放感があふれている。
そして今、朝食を食べるために階段を降りている。
のだが、兄は疲れるといけないからと言って抱っこされている。
「ほら、すぐだったろ?」
あっという間に一階へとつき、兄は私を優しく降ろす。
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!! ( No.9 )
- 日時: 2014/07/31 11:25
- 名前: 音宮 (ID: IvdLyRwl)
兄と話しているうちに一階についてしまった。
「もうっ。今日だけだからね!こうやって抱っこされるのはっ」
膝から10センチ上くらいの水色のスカートを正しながら兄に言う。
「そう言っておきながらも明日も抱っこされるよ、梓は」
くっくっと笑っていう。絶対にバカにしてるな、こいつ。
「されるか。そんなにバカじゃないもん!」
「何言ってんだ。この前のテストの合計、言ってやろうか」
呆れた顔で肩をすくめる。
「えっ!だめだよ。そんな手を使うとは…。ありえないからっ」
「担任の特権。生徒をいち早く黙らせるち・か・ら」
最後のほうに指を振りながら悪笑を浮かべる。
もう…最悪…。これだから担任を身内に持つと…。
「どうしたの。そんな顔したらかわいい梓が台無しだよ」
身をかなりかがめて覗き込んでくる。
そうなのだ。私と兄の身長差はなんと20センチもある。
私が155センチで兄が175センチである。
だから会話するときも私が兄を見上げる。
それがまた憎い。
「梓。そろそろ食べないと学校に遅れる」
兄がこれまた高級そうな椅子を私のために引いてくれる。
「うん。わかった。じゃあ、いただきます」
今日の朝食は私のすきなフレンチトースト。
アイスクリームの乗ったそれは口の中で
ゆっくりと溶けていく。
付け合わせにはイチゴがたっぷり乗っているヨーグルト。
これも甘酸っぱくておいしい。
朝食はいつも兄が作っているのは、
皆が驚くところであろう。
前にもいったが兄は私の世話をするのが好きなのだ。だからすべてやってくれる。
朝食をそそくさと食べ終えたら兄に学校まで車で送ってもらう。
兄と行き先が一緒だからね。
さすがに下校は兄と一緒に出来ないので
一人で一昨年まで一人で歩いて帰って来ていたが、
それを心配した兄はその近くのマンションに
去年から引っ越してきた信頼できる更科さんに頼み、私の下校をともにしてもらっているのであった。
「ほら早く乗って」
兄の車は赤い外車である。
車の種類はよくわからないがそれだけは確か。
”赤”というのが兄をまた目立たせる。
ただでさえも周りからうらやましがられる程の美貌を持っていることで目立っているのに兄は目立ちたいと
言っているのが少し、憎いし目立ってんじゃんと私も思ったりする。
「今日の下校も椋とな?椋には昇降口で待ってもらえるようにしたから」
交差点の信号が赤信号になったところで言う。
「分かってる。更科さんと仲良く帰えるから心配しないで」
兄の目を覗き込むようにしてみる。
「仲良くしないでいいからな。ここ、重要」
真剣な目をこちらにギロッて向けてくる。
その目から逃げるように窓に目を向けると
大きな黒い門が見えてきた。
これは学校の正門である。
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!! ( No.10 )
- 日時: 2014/08/21 13:21
- 名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)
外見はいつ見てもヨーロッパ風の校舎。
お嬢様学校という雰囲気が漂っている。
ちなみにこの学校は中高大となっている。
つまり中学試験でこの学校に入れば大学まで上がれるエスカレーター式なのである。
ちなみに私は高校二年生で部活は茶道部である。
最近、お菓子ばっかり食べているのでちょっと太り気味であるのが悩みの種。
学校の評判はものすごくいい。
今着ている夏服の制服は白いブラウスに紫っぽいのベストそして学年ごとに異なるスカートは
中一から赤、青、緑、ピンク、水色、黄緑である。
ちなみに大学の制服はないので私服である。
こういう制服であるため、かわいいし個性的だというのも評判の一つ。
そして学もあり、運動の面でもいい記録をだしているので
名門校だといわれる場合もある。
だから毎年、この学校に入りたい人はたくさんいるが厳しい試験で落ちる受験生が大勢である。
そしてこの学校には女子しか入れない、
つまり女学校。
さらに変わっているのが先生はみんな男性であった。
故にこの学校では先生と生徒が結婚するっていうのが多発する。もちろん生徒が卒業した後で。
こういった風にものすごく変わった学校であった。
「おはようございます、慧先生!」
兄が車から降りると、途端にその周りの生徒が集まって兄に挨拶をしている。
すると兄は決まって爽やか笑顔で挨拶を返す。
口元から白い歯がみえてそれが太陽に反射してまぶしいほど光る。
透明な黒いシールが張られている窓から見ても
光っているのが分かる。
挨拶を返し終わった兄は私を車から降ろすためにドアを開けてくれる。
「ありがと、お…慧先生」
”お兄ちゃん”と呼ぶのを私は学校ではやめている。
なぜなら兄と呼ぶとほかの先生からの扱いが違ってしまうしクラスメイトからもうらやましがられるからだった。
私は普通の生活がしたいのに兄はそれを許してくれない。
「”お兄ちゃん”だろ?」
悪い、悪いぞ、兄よ。性格なんか最近悪くないか?
分かっているくせにそんなことを言うなんて。
「…お兄ちゃんって呼べばいいんでしょ!」
「そうそう。俺は梓からそう呼ばれるのが好きなんだ
から」にこっと笑う兄。
真面目そうな雰囲気が一気に崩れ落ちる。
他愛もない話をしているうちに教室についてしまう。
ドアを開けて教室に入ると沢山の女子生徒が待っていた。
「慧先生!おはようございます!」
彼女たちのお目当ては、やはり兄であった。
「ああ。おはよう、みんな。朝から元気だね!」
爽やかすぎる笑顔のおかげでみんなはうっとりしている。
その笑顔を見た後は、席におとなしく帰っていく。
クラスメイトの私には挨拶はない。
いつもこんな感じである。
こんな完璧な男が兄だということにただでさえもみんな私をうらやましがっているのに、
さらに兄妹のなかも仲がいいのでは、うらやましい以外にも嫉妬という感情があるのであろう。
今日の授業は、一時間目から兄の授業であった。
兄の担当教科は国語であるが、時々他の教師の代わりに担当教科以外も授業をしているようだった。
ちなみに兄の教え方はものすごく上手であった。
生徒の間でも人気になるくらいに、ね。
「ここの連体詞は…」
兄が授業をしているときはいつも眼鏡をかけている。
兄は目が悪くないので伊達だが。
兄曰く、これはまじめそうに見せるためだとか。
それも意外にも似合っており、整った顔にしっくりと来る。
四時間にもわたる長い長い授業を終えた。
そのあと昼食を食べるためにテラスにいく。
そこで兄の作った弁当を食べるのが日課になっている。
しかし、兄の作る弁当は量が多すぎるので他の生徒に分ける。
それも結構、評判になり
兄と私のまわりには箸と小皿とをもった女子生徒であふれる。
そんな忙しい黄色い声が飛び交う昼食の時間を終える。
今日は教師の集まり、研修会があるため四時間で帰ることになった。
帰りの会がおわり、支度を終えた後、
昇降口に行くと更科さんがスマホをいじりながら
壁に寄りかかって待っていてくれた。
その姿は、まるでどこかのモデルさんみたいだ。
更科さんはどこからみてもかっこよかった。
外国人みたいな水色の二重の瞳。
すっとした高い鼻。
逆三角形の顎。
うす茶色のくせっ毛のある髪がまたかっこよさを引き立たせる。
そして彼は国立大学の二年生である。
なので頭もよく
スポーツもできるらしいが、兄曰く、彼は不器用。
私が立っているのが気付いたのか、
顔を上げこちらを向き、うすく笑いかけてくる。
それでも歩き出そうとしない私を見かねたのか、
こちらに近づいて私の手をとり歩く。
正門をでたところで手を放してくれ、会話が
いつものようにスタートする。
「梓ちゃん、学校はどうだった?」
その優しい声は透き通るようにきれいである。
「いつもよりは結構、良かったです」
「そうか。よかったな」
彼と出会ったのはつい三年前ぐらいのこと。
兄のサークルに行ったとき、彼と出会う。
もともと彼と兄は仲が良かったので
自然と彼とも仲良くなった。
「はい、着いたよ。どうする?いつもみたいに慧さんのことを一緒に待つ?」
「ありがとうございます!そうしていただけると嬉しいです」
彼と歩くと遠い道のりもはやく感じる。
彼のとなりは兄の次に安心して居られる場であった。
数時間後、更科さんとテレビを見ながら待っていると
兄が帰って来てそれから三人でご飯を食べるのが日課の一つになりつつある。
もう更科さんは私たち兄妹の家族の一人になっていた。
更科さんはご飯を食べた後、いつもここに泊まることになって、
私と更科さんでゲームをしたりしてとても楽しい一日であった。
もちろん兄ともやったが。