コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 過保護すぎる兄と私とその他の人達!![参照300突破] ( No.61 )
- 日時: 2015/04/02 17:33
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
第九話 兄として
中間テストもおわり、この先、二か月ほど、何もイベントがなく、ゆったりと平穏な日々を過ごしていた。
中間テストの結果が返ってきたので、兄に見せようと、兄の部屋を覗く。
「……」
兄は部屋で何かを見ていた。
その表情がとても真剣で話しかけにくかった。
こんな表情、初めて。
兄が、ここまで真剣になって見ている物は何だろう。
「…梓」
兄が視線に気づいたらしく、私の名前をよんだ。
「お兄ちゃん、何見ていたの?」
兄が私を見た途端、先ほどまで見ていたものを隠すので気になった。
「……なんでもない。梓には関係ないんだよ」
一見、焦ってないように見える兄だが、私にはわかる。こうやって冷静に答えるときは、内心ではすごく焦っている。
「嘘。お兄ちゃん、あんなにも真剣に見ていたもの。
私には関係ないって言うなら見せてくれたっていいんじゃない」
ぷぅっと頬を膨らませて怒る。そうよ、見せてくれてもいいじゃん。
「……そろそろ見せてやってもいいかな」
と言って渋々、隠したものを私に差し出す。
それは一枚の写真だった。きれいな額縁に入っていてその写真に写っているのは、綺麗な女の人。
淡いピンクのワンピースに包まれていかにもお嬢様な雰囲気を出している。背景には私の通う学校があった。
「……誰、この人?お兄ちゃんのイイ人?」
あんなにも真剣に見ていた人だもん。きっと兄の恋人かもしれない。
兄は頷いたようにも見えて、なんだか困った風に笑っている。
「今は何も知らない方がいいかもしれない。ただ、その人はね……」
急に真剣な顔をして私に言ったんだ。
「梓にすごく関わっている人なんだよ。梓、お前はこの人を忘れてはならない」
一体、どういう意味なんだろう。私に関わっている人……。でも私、この人、知らないよ、会ったこともないよ。
兄にどういうことなのか、聞いても他には何も言ってくれなかった。
「もういいだろう……」
と言って私を部屋から追い出すようにしてあの写真も取り上げられた。
兄は何か、私に秘密を隠している。
……私の重大な秘密を知っているんだ。
「ふぅ……」
まだ、知られてはならない。なぜならあの人たちとの関係は閉ざされていない。梓を守らなくてはならない。
まだだ……、凜の事、俺の事も梓が知るには早すぎるんだっ。
俺は、梓の兄として彼女を見守らなくてはっ。