コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【遊園地編】雨降り、えちゅーど。【吹奏楽部】 ( No.21 )
- 日時: 2014/09/08 16:42
- 名前: 夕衣 ◆Q9Ii4rWFeg (ID: VI3Pf7.x)
開園してからすぐなのか、あまり並ばずに入場券を手に入れることができた私たちは、とあるアトラクションの前にいた。
「面白そーだね!」
「乗りたいですー!!」
それはフリーフォールのような形式で、何回かバウンドしながら降りていくような、まあありきたりなアトラクションだった。
私自身もとくにそういうのが嫌いな訳ではない。
早速みんなで入口に並ぶ。比較的空いているため、あっさりと入場することができた。
『それじゃあいっくよー! 3.2.1.ゴーッ!』
お姉さんの威勢のいい掛け声と共に乗り物が勢いよく上昇する。
そこからガクンガクンとなりながら降りて行った。
「きゃ───ッ!」
こういうアトラクションで叫べない系女子の私は、ただただ笑うことしかできない。
『おつかれさまでしたーっ! お忘れ物のないようにお願いしまーす!』
ようやく乗り物が停止し、自動的にベルトが外れると私たちは各自の荷物を取りに行った。
「や、楽しかったー」
「ウチちょっと酔ったかも……」
私たちは、それぞれの感想を述べながらも次のアトラクションに歩いていく。
もちろん先導するのは湖鈴先輩だ。
「あ、次アレ乗ろー!」
***
あの後私たちは一回転するバイキングみたいな船に乗り、360度回転するモモンガに乗り、絶叫コースターに2回続けて乗り、ウォータースライダーみたいなのに乗り、まだ午前中だというのにかなりの体力を消耗していた。
「あ、あの……」
そのとき、汐乃が言いにくそうに口を開いた。
「ん?」
「……お、お腹すきました…」
実のところを言うと私もだ。
天然美少女・汐乃の顔をしばらく見た湖鈴先輩は、少し考えてこう言った
「じゃあ、とりまお昼にしよっか?」
「さんせー!!」
幸い近くに席がたくさん空いているファストフード店があったため、私たちは学年ごとにテーブルを使っている。や、学年ごとって言っても2年は私と汐乃だけだけど。
「今日、晴れてよかったね! すっごい遊園地日和!」
「うん…焼けそうだねー」
私は笑顔でそう返す。汐乃と迎える、最後の日曜日。悲しい顔なんて見せちゃいけない。
「……って! 食べんの早くない!?」
「え、いつもじゃん」
「だってけっこー量あったよ!」
焼きそば1パックに長いチュロスを、汐乃は10分足らずでたいらげたのだ。私なんて、まだ半分くらいしか減ってないのにぃ。
「それより、雨莉が遅いんじゃないのー?」
「ほっといてください…もー」
ようやく私が食べ終わった。そして、他のみんなを見るととっくのとーに片付けてたらしく、ひとりでトホホと返却口に向かう。
「よし、早速次行くかー。さすがに、いきなり絶叫系はムリだよね?」
「ムリです」
「あ! あれにしよ! 面白そうじゃん」
奈都子先輩がさしたのは、『レーザーアスレチック 〜秘宝を求めて〜』というアドベンチャー式アトラクション。確かに楽しそう!
中に入ると、結構並んでいた。でも割と回転は速く、すぐに順番が回って来そうな感じだった。ふたりペアということで、みんなを分けると、私は奈都子先輩と一緒になった。
「ええええ! 3分っ!?」
「ウソでしょ…!?」
真緒先輩と湖鈴先輩が驚いている様子だ。確かに、3分は短いなぁ…でも、スリルがあってワクワクする。
「次の方、どうぞ」
気づいたら、順番が回って来ていた。差し出されたカゴに荷物を入れ、赤いボタンを押してタイマースタート。
「雨莉ちゃんっ! 早く!」
「は、はいっ!」
前の人を見ていたため、割とスムーズに行った第1ステージ。カーテンをくぐり抜けると、星型にレーザーが張り巡らせてあった。そう、レーザーに触れたらいけない。1回触れたら30秒制限時間が短くなるらしい。さすがにそれは避けたい。
てんやわんやで第2ステージをクリア。続く第3ステージは、これでもかというほどレーザー、レーザー、レーザー。なんとか床に這いつくばって行こうとするが、パーカーのフードが触れ30秒減少させてしまった。
「頑張れ! あともう少し!」
奈都子先輩の応援を聞きながら、私はよりスピードを速くしようとした。だが、それがダメだったらしい。指先がレーザーに触れ、タイムオーバーとなってしまった。
『はーい! そこまででーす! 入り口に戻って来てくださーい』
「あーあ……」
「す、すみません…」
「いいのいいの。楽しかったし!」
奈都子先輩はそう言って笑ってくれた。よかった。