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Re: とったま!! ( No.14 )
日時: 2014/07/29 01:27
名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: HYBdaZWe)

【#7 先輩達】


「ウチ、百八十以外いらない。」
「………は?」


宏太は固まった。
そんな話、聞いていない!と声に出そうとしたが、此処で問題を起こしてバレーが出来なくなっては困る。宏太は喉の奥に言葉を閉まった。

「ば、馬鹿!木戸、御前何言ってんだよ!大切な一年だろ!?」

宏太達の様子を見ていた、顔が全体的に丸い男が慌てた様子で駆け寄ってくる。よく見るとその男、宏太より背が若干低く見える。
どーゆうこっちゃ。宏太は何処ぞの言葉で小さく呟いた。
一方、木戸と呼ばれた男は先程の眠そうな顔から一転。鬼の形相で駆け寄って来た男を睨んでいる。

「水野、忘れた訳じゃないよな。去年の事!!!」
「わ、忘れる訳、無いだろ……。」
「だったら分かるよなぁ!?去年は身長低い奴ばっかだったからブロック打ち抜けなかったんだよ!!彼奴等に勝つには身長高くて尚且つ強そうなのが必要なんだよ!こんな背ェ低くてひょろっちい奴使い物になるか!!」
「此奴の方が俺より身長高いよ……。」

木戸の迫力に水野は思わず体を縮こめた。
宏太は呆然と二人の対話を見ていた。内容はほぼ聞いていなかった。
しばらく見ていると、何だ何だと周りの者も集まってきた。

「き、木戸っちおちけつッスよ……。先生来るッスよ……。」
「常陸の言う通りだ。あまり騒ぐな。カントクに怒られるだろう。」

入口で先輩達のプチ喧嘩。この状況に宏太の内心はやっべー☆俺やっちまったよ状態であった。今の状態を作ったのは、木戸では無く、入部してきた自分だったのでは……。そう思うと罪悪感が宏太にのし掛かり、宏太思わずは一歩下がった。

「ちょ……一年引いてるッス……。」
「いや、あの顔はやっべー☆俺やっちまったって感じだべ……。」

そんな声が聞こえた所でもう一歩下がろうとした時、宏太は体育館の入口が段差になっている事を忘れており、うっかり足を滑らせてしまった。

先程まで口論していた、宏太を見てヒソヒソ話をしていた、早く終わらせろよクソボケ共という顔をしていた……体育館内にいる全員の視線が宏太に……。

いや、正確には宏太の肩の後ろにある人影に集まっていた。



ドサッ
「ぐえっ」


蛙が潰れた時のような声がした。