コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: とったま!! ( No.3 )
- 日時: 2014/07/15 18:36
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
【#2 女王様と下僕】
十三時二十三分、図書館前。
「俺、何時集合っつった……?」
「ホントウニモウシワケアリマセンデシタ。」
そこにはベンチに踏ん反り返る宏太の親友、滝 流新(タキ リュウシン)と、流新の足を舐めんばかりに地面に這い蹲る宏太の姿が。例るなら、女王様と下僕といった所か。
流新の顔には明らかに怒りが現れており、一触即発状態。どんな地雷を踏もうが怒りだけで街一つ吹っ飛ばせそうだった。
「御前だろ?分からない所あるって言ったの……。」
真っ黒な“何か”を隠した笑顔で流新は宏太に問いかける。
宏太は素直に「ハイ」とだけ答えた。此処で「いいえ」と答えれば、一瞬で喰い殺されていただろう。
「だよなぁ」と、笑う流新。だが笑っているのは口元だけ。それ以外の部位(主に目)は全く笑っていない。
「でも、聞いた人が遅刻したとはどういう事かな?」
鬼に金棒。流新に笑顔。
宏太は流新の(黒い)笑顔に弱い。素直に先程までの事を話す決心をした。
「昨年の……高校バレーの、試合見て、ました……。」
「バレー?」
流新の顔がきょとんとした物に変わった。オマケに頭の上からクエスチョンマークがぴょこぴょこ飛び出る。
「ハイ。僕も壁になりたいと思ってた所、電話が。」
「壁?」
流新の頭の上のクエスチョンマークが更に増えた。
確かに、誰でも「壁になりたい」などと突然言われれば混乱するだろう。
「そう、とにかく凄いんだ!」
先程の流新の女王様っぷりは何処へ行ったのか。いつの間にか立場が逆転しており、今度は流新が宏太の気迫に負け体を逸らし、宏太は興奮した様子でグイグイと詰め寄っている。
「打ったボールが反対側のコートに入るって思った瞬間、背の高い人が飛び出て来てさ、打ったボール弾いたんだよ!凄くない!?」
「分かった、分かった!ほら、
徹底的にやんぞ。」
宏太を押し退けて、ベキボキと手を慣らした流新を見て、「あ、僕死んだな。」と宏太は直感したのであった。